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2020年08月25日 20時00分
科学に裏付けされた「自慰行為のメリット」とは?
論文として発表された研究や実験から判明した、自慰行為(マスターベーション)が心身にもたらすさまざまなメリットについて、科学ニュースサイトZME Scienceがまとめています。
Your brain on masturbation
https://www.zmescience.com/science/your-brain-on-masturbation-042333/
海外にはマスターベーションをやめることを目的とした自助団体的な集いである「NoFap」が存在するほか、日本でも「オナ禁(オナニーの禁止)をするとモテる」といった言説がまことしやかに語られています。しかし、ZME Scienceでサイエンスジャーナリストを務めるTibi Puiu氏は「マスターベーションには科学に裏付けされた物理的および心理的なメリットがたくさんあります」と述べています。
そこでPuiu氏は、これまでに発表された論文により証明されたマスターベーションの効果や、マスターベーションに関する俗説の間違いについて、以下の7点にまとめました。
◆メリット1:気分を高めるホルモンの放出を促す
マスターベーション中の人体では、複数のホルモンが放出されますが、その中で最も重要なものの1つがドーパミンです。ドーパミンは快の感情や意欲などに関与しているため、「幸福ホルモン」との別名を持っています。
他にも、エンドルフィン、テストステロン、プロラクチンといったホルモンの働きにより、ストレス軽減や免疫機能の改善が期待できるとのことです。
ただし、上記のような「気分を高める」とされているホルモンの働きについては、まだ分かっていない側面も多く存在しています。ZME Scienceの取材に応えたイギリス・サウサンプトン大学の心理学者ヘザー・アームストロング氏は、「まだ科学はホルモンの問題にはっきりと答えることができません。同じ種類のホルモンが放出されているように見えても、オーガズムに至るまでの方法を問わず常に同じ量と比率、同じメカニズムで放出されているかを調べるのは困難だからです」と述べて、これらのホルモンの働きがマスターベーション特有のものなのか、セックスでも同様なのかは不明だとの見方を示しました。
◆メリット2:ストレスを緩和しリラックスできる
セックスの際に分泌されるオキシトシンは、2人の絆を強くするので「恋愛ホルモン」呼ばれることもありますが、マスターベーションでも分泌されるとのこと。2015年に発表されたオキシトシンに関する研究では、オキシトシンが増加するとストレスに関係するホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられ、リラックスにつながることが分かっています。
◆メリット3:スムーズに眠りにつくことができる
「就寝前にマスターベーションをすると寝付きがいい」という人がいます。実際に、マスターベーションにより分泌されるオキシトシン、セロトニン、ノルエピネフリンは、ストレス軽減やリラックスと関係が深いため、眠りに入りやすくなるというメリットもあるとのことです。
◆メリット4:免疫機能を改善する可能性がある
発表されたのが1975年と少し古い論文ですが、セロトニンとノルエピネフリンの働きに注目したこの研究により、これらの2つのホルモンはレム睡眠やノンレム睡眠の調節に関与していることが分かっています。また、その過程で炎症作用や免疫機能において重要な働きを担っているサイトカインというタンパク質も放出されるため、Puiu氏は「マスターベーションは免疫機能を改善するかもしれません」と結論付けています。
◆メリット5:痛みを防いだり和らげたりする
2013年に発表された研究によると、こめかみの辺りがズキズキ痛む偏頭痛や、「目の奥をえぐられるような激しい痛み」と形容されることもある群発頭痛に苦しむ患者の3分の1が、セックスで頭痛が緩和されると報告しているとのこと。慢性的な頭痛に悩まされている患者の中には、一種の頭痛治療としてセックスをしていると答えた人もいるそうです。このことからPuiu氏は、セックスと同様にオーガズムを経験することができるマスターベーションにも、痛みを和らげる効果があると指摘しています。
ドイツにあるヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学の神経学者で、頭痛の専門家でもあるステファン・エバース氏はこの研究結果について「セックスが頭痛を和らげる理由は分かっていませんが、天然の鎮痛剤でもあるエンドルフィンが痛みをまひさせる可能性があります」と述べました。
◆メリット6:特に女性にとっては、マスターベーションはセックスや恋愛関係の充実化につながる
2017年の研究によると、男性の場合はマスターベーションを定期的に行っているかどうかにかかわらず、全体の95%がセックス中にオーガズムを経験することができているとのこと。一方、2014年の研究では、セックス中にオーガズムを経験する女性の35%が定期的にマスターベーションをしていたのに対し、マスターベーションはしないがセックスでオーガズムを得られると答えた女性はわずか9%に過ぎないことが判明しています。
このことから、女性がマスターベーションをするとオーガズムに達する可能性が高まり、男女の関係をより充実させることできると、Puiu氏は考えています。しかし、アームストロング氏が2020年7月に発表した研究によると、女性の中には「女性がマスターベーションをすると、男性に不満を抱いていると思われたり、侮辱と受け取られたりする」と考えている人が少なくないため、多くの女性がマスターベーションを我慢したり、セックス中に大人のおもちゃを使用することを控えたりしているそうです。
この研究結果について、アームストロング氏は「男女の脳に有意な違いがあるかどうかについては、科学者の間で意見が分かれています。また、社会や文化、個人の考え方などの影響により、マスターベーションに対する意識も男女でかなり違いがあるため、こうした違いが『生物学的な脳の違い』に起因するのかどうかを明らかにするのは不可能に近いでしょう」とコメントしています。
また、女性のマスターベーションについてPuiu氏は、男性としての立場から「言い方は悪いかもしれませんが、一般に女性はセックスよりマスターベーションの方が早く、そして簡単に絶頂に達します。しかし、マスターベーションは男女の両方にとって助けになるので、マスターベーションの方が簡単に絶頂に達するからといって、そのことを悪いと感じる必要はありません」と述べました。
◆誤った俗説:マスターベーションはうつ病などの精神疾患と関係がある
宗教の影響で長らくマスターベーションがタブー視されてきた西洋社会では、マスターベーションがうつ病につながると信じている人や、マスターベーションに罪悪感を覚える人が少なくないとのこと。
実際に、男性のうつ病と性機能障害の関係に注目した2018年の研究により、「うつ病と診断された男性のグループには、マスターベーションに関する誤った俗説がまん延している」ことが確かめられています。
こうした俗説についてPuiu氏は、「マスターベーションがうつ病の症状を誘発したり、増幅させたりすることをほのめかすような証拠は存在しません。むしろ、マスターベーションにより分泌される気分を改善させるホルモンのおかげで、うつ病が和らぐはずです」と述べました。
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