「GLOBIS知見録」様より
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2015.07.05
G1サミット
男性型・体力勝負労働の限界~時間と場所の制約をなくす“報酬”を!
ワーク・ライフバランス社長・小室淑恵氏×クロスカンパニー社長・石川康晴氏×リクルートマーケティングパートナーズ社長・冨塚優氏×プロノバ社長・岡島悦子氏
G1サミット2015
第9部 分科会D「競争戦略としてのワークライフ・ダイバーシティ」
雇用形態が多様化し、クラウドやテレビ会議の進化によって、リモートワークが浸透しつつある子育てやライフスタイルに合わせて、個人が働き方を柔軟にデザインする時代。
ワークスタイル・ダイバーシティは、労働力を確保し、企業の競争優位に直結する戦略となっている。
企業は今後、どのような組織と働き方を設計していくべきだろうか。企業と個人の関係をどのように構築していくべきか。
ワーク・ライフバランスの小室淑恵氏、リクルートの峰岸真澄氏、「4時間正社員制度」など独自の制度で知られるクロスカンパニー石川康晴氏が、新たな時代の働き方を提言する
(視聴時間1時間16分17秒)。
石川 康晴氏
株式会社クロスカンパニー 代表取締役社長
小室 淑恵氏
株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
冨塚 優氏
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
代表取締役社長
岡島 悦子氏(モデレーター)
株式会社プロノバ 代表取締役社長
【ポイント】
・若者の率が減少し、高齢者の率が上昇する。その2つがクロスするところが、人口ボーナス期から人口オーナス期に切り替わるポイント。
人口ボーナス期と人口オーナス期では、経済発展しやすいルールが真逆(小室氏)・ボーナス期には重工業が主体となり、男性の筋肉がいちばんのポイント。
先に押さえたもの勝ちの国獲り合戦。
時間が成果に直結し、一糸乱れない仕事をする人が求められる。
日本では、出張・転勤・残業を猛烈に課すことが、上手に一律管理するアイディアのひとつだった。
私は「お前の代わりなんかいくらでもいるんだよ戦略」と呼んでいる。
人口オーナス期には、男女をフル活用できる組織が勝つ。1つ目のポイントは、向こうから選ばれる組織になること。
2つ目は、徹底的に短時間で働かせること。
自分の成功体験を当時の経済背景とセットで語る人口ボーナス期の成功体験者の話を真に受けず、徹底的に短時間で成果を出す戦略に短期間でシフトすること。
3つ目は、なるべく違う条件の人をそろえること。高い付加価値のものを短サイクルで出すことが市場から求められている(小室氏)・リクルートでは、男女の社員比率と管理職比率が全然違う。
これは、優秀な女性の活用ができていないということで、遺失利益的になっている(冨塚氏)
・働きやすい環境を用意することが大事。女性が働きやすい環境は、男性も働きやすい。
時間あたりの生産性を上げるため、実験的に在宅勤務をしてみたところ、非常に効率的。また、外部からの刺激をもらうことで生まれる、今までとは違った発想が必要。
時間の使い方を変えることで、付加価値の創出を図る。
一方で、社名という肩書きをはずしても社会で貢献できているかという意識が必要(冨塚氏)
・短時間制度を導入する会社は多いが、当社は最初から4時間で正社員として雇用。
就労の意欲が高いが時間拘束の概念で働くことが不安だ、責任をもって短時間でも働きたい、キャリアの遠回りをしたくないという若いママさん世代の女性に絶大な支持を得ている。
子どもが10歳までは4時間から6時間、高学年になるとフルタイムを提案しており、時間にバリエーションをもってゆるやかに変えていくことを推奨している(石川氏)
・企業をコンサルするとき、どうしても変わらない人に話を聞くと、「家に帰っても待っている人はいないが、会社では独り言にうなずいてくれる後輩がいる」。
一度、会社に自分の場所をもってしまうと、新たなコミュニティーに出ていくことが怖くなってしまう(小室氏)・アパレルという斜陽産業のどまんなかで、われわれが売り上げをあげた理由は、女性へのエンパーメント。
ユーザーにあわせた、当たり前な配置と当たり前な権限委譲によって会社が伸びた(石川氏)
・女性の出世を止めるのは男性化した女性。
管理職でも、定時でヨガに行ってほしい。
そういった高効率な管理職は若い人に夢や希望を与える。
素敵なライフバランスをもった人をわれわれがどうやって応援するかが大事(石川氏)
ママさんがマネージャーのチームのメンバーは全然雰囲気が違う。
効率的な方法を皆で一緒に考えるようになる(冨塚氏)
・リクルートスタッフィングでは、MVPをとるためには、チームの労働時間が、一定時間より下でなければならない。
時間内でとなれば、チームの中で労働時間を平準化し、効率をあげることが大事。
つまり、どういったチームが勝者なのかという設定が重要になる。
日本の労働力人口の構造から、労働時間に上限が入るのは、誰が抜けたとしても成り立つチームを作り、チームで勝つという方法しかない(小室氏)
・やってみることが大事。やってみると工夫が出てくる。
やれないならやれる方法を考えるようになり、ワーキングマザーになって生産性はあがる人が多い(岡島氏)
・当社は4時間の短時間社員が全体の1割ほど。通常タイムの社員と比べると、120パーセントも生産性が高い。
この比率を5対5にすると会社の利益も出るので、そんなチャレンジもしてみたい(石川氏)
・経営をやっている限りは収益を上げなくてはならない。
キャップをかけるという面では、オフィスの面積を半分にし、コストを削減。
面積が少なくなった中で、最大限コミュニケーションをとる方法を決める。
生まれた利益の一部をコミュニケーションポストにもっていくと、みんなが喜ぶ。
そういう方法を考えるべき(冨塚氏)
年収を高く提示して雇っても、自分の年収の高さはすぐに忘れられてしまうが、時間や場所を柔軟に働かせてもらっているということは常日頃感じる。
このため、この会社でよかったというロイヤリティーがどんどん高まる。
金銭的な報酬より、時間的制約・場所的制約を感じさせない報酬の方が、いい人を採用することに効果的(小室氏)
・女性へのエンパーメントの比率を高めるためには社内の制度を変革し、社内の文化を作ること。そのためには男性が細かいことを大事にしていかねばならない。
われわれの会社での男性役員のルールは、会議中に指をささない、足を組まない、腕を組まない。
こんなことから、女性がいやすい社内文化ができあがる(石川氏)
・女性推進だけではなく、多様な視点を生かすという意味でも、多様な人材がいたほうがいい。
ほぼ全ての社に様々な制度があるが、その制度を運用することが大事(岡島氏)
・最大のポイントは、優秀な女性を選ぶときに正しいルールを適用し、正しい評価の基準のもとで戦わせること。
日本で当たり前のように運用している成果主義は、期間あたり生産性。
これで一位になるためにいちばん単純なのは、労働時間を最大化し、残業すること。
逆にいうと、時間に制約をもった瞬間でこのレースに勝ち目はない。
一方、グローバルに運用している成果主義は、時間あたり生産性(小室氏)
(肩書きは2015年3月20日登壇当時のもの)
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