「三橋貴明 Amebaオフィシャルブログ」様より
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世界的な資本主義のピボット(転換)が始まった
2021-06-07 08:05:49
テーマ:アメリカ経済
コロナ禍を受け、最近、
「資本主義が終わる」
といった主張を目にすることが少なくないのですが、
「企業(等)が銀行融資(等)により資金を調達し、資本(インフラ、工場、機械、運搬車両等)を生産活動に投じ、生産性を高めることで成長する」
という、経済モデルとしての資本主義が終わるとは思えません。
と言いますか、上記の資本主義の定義に基づくと、まさにデフレ下の日本こそ、資本主義がまともに機能していなかった国になるのですが、恐らく「資本主義が終わる」論は、株主が一方的に利益を得る「株主資本主義」が転換すると主張しているように思えます。
企業とは、本来は株主はもちろん、経営者、従業員、地域社会、共同体(国家)、顧客、そして「未来」と、複数のステークホルダーのために存在していると信じます。
なぜ「未来」なのかといえば、例えば技術投資の恩恵を受けるのは、「未来の人々」であるためです。
株主資本主義の下で、企業は下請けを叩き(売上原価の削減)、人件費や投資、研究開発を抑制し(費用の削減)、政府に法人税を引き下げさせ(純利益を拡大)、配当金や自社株買いを増やすことを株主から要求され続けました。
97年以降の日本の大企業は、売上・人件費・投資が伸びず、反対側で配当金を6倍にした。
まさに、株主資本主義こそが、我々国民を貧困化させた「二大要因」の内の一つです(もう一つは、言うまでもなく緊縮財政)。
株主資本主義の下、企業は研究開発費を抑制し、技術が陳腐化していった。結果、現在の菅政権が推進する中小企業改革、すなわち垂直統合モデルというビジネスに繋がります。
もっとも、世界的には「株主資本主義」は転換の時期を迎えつつあります。
『G7、税収減で危機感共有 コロナ財政が背中押す 法人税率「15%下限」合意、巨大ITの節税にも照準
主要7カ国(G7)は5日閉幕した財務相会合で、法人税の最低税率を「少なくとも15%」と明記した共同声明を採択した。
20カ国・地域(G20)や経済協力開発機構(OECD)が年央に目指す最終合意に向けて強いメッセージを発した背景には、30年間に及ぶ法人税の引き下げ競争が税収減を招いたことへの危機感がある。
新型コロナウイルス禍での歳出拡大による財政悪化が背中を押した。
米国の法人税収の国内総生産(GDP)比は1990年以降、2%前後で推移していたがトランプ政権での大型減税で19年には1%以下になった。
法人税を引き下げると企業活動が活発になり、最終的に税収増につながるという「法人税のパラドックス」は米国では実際には実現しなかった。(後略)』
麻生財務大臣は、国際的な法人税率規制について、6月1日時点で、
「数字のところまでは行き着かないだろう」
と、発言していますが、数字のところにまで行き着きました。
日経の記事の後略部では、
『(引用)法人税の引き下げは本来、企業に積極的な設備投資や研究開発を促す狙いがある。だが税負担の軽減で実際に増えたのは、自社株買いによる投資家への還元だった。
これが貧富の格差を広げる一因になり、株主を最優先に置く資本主義の限界を露呈したとの指摘がある。』
と、目を疑いたくなるほど「正しい」ことが書かれています。
無論、日本は現在も世界的な株主資本主義の是正に背を向け、政権がグローバリズムの推進に邁進していますが、少なくとも世界は変わり始めた。
先日の経済産業省の「反・緊縮、反・構造改革の狼煙」も、世界的な流れを受けたものなのかもしれません。
日本も周回遅れの株主資本主義の推進を転換し、
『(同)格差拡大と税収減を生んだ法人税の引き下げによる「底辺への競争」(イエレン米財務長官)』
をやめる時期です。
無論、100%の国民が等しく恩恵を受ける資本主義などありませんが、少なくとも所得の果実が圧倒的に株主に偏る構造を「改革」しなければなりません。
国民が豊かになる資本主義を取り戻すのです。
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30,217 回視聴•2021/06/04
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世界的な資本主義のピボット(転換)が始まった
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