「三橋貴明アメーバオフィシャルブログ」様より
シェア、掲載。
ありがとうございます。
感謝です。
詳しくは下を参照
日本「新」社会主義宣言(前編)
2016-02-29 10:19:39
徳間書店から
「日本「新」社会主義宣言: 「構造改革」をやめれば再び高度経済成長がもたらされる 」
が刊行になりました。
ちなみに、「新」社会主義宣言とは、書籍の末尾に書いたように、
「日本国が超人手不足を生産性向上によって埋めることで、再び高度成長を遂げる日を迎えること」
という定義になります。
他には一切の意味はないのですが、例により「三橋は社会主義者だった!」といったレッテル貼りが横行すると思うので、本を読むこともできず、言葉で反射的に思考するバカ頭が弱い方発見器として役に立つと思います。
究極の社会主義を、国家の統制・規制が強化され、生産性が低迷し、国民が飢えに苦しんだ「ソ連型」だとしましょう。
逆に、究極の自由主義を、国家の統制・規制がグローバリズムの掛け声の下で緩和、撤廃され、所得上位1%が所得の多くを獲得する「(現代の)アメリカ型」だとしましょうか。
経世済民、つまりは「国民が豊かになる国民経済」は、ソ連型と(現代の)アメリカ型の間の「バランス」を探らなければならないわけです。
そうすることで、
「国民の安全保障が担保され、インフラが充実し、所得格差の拡大がそれほどでもなく、中間層が分厚く、生産性向上により国民の実質賃金が上昇し、内需主導で継続的に成長していく経済」
を実現できます。
そんな、夢みたいな時代はあり得ないと思われるかも知れませんが、実際にほぼ上記を満たした国がありました。高度成長期からバブル崩壊までの我が国です。
もっとも、当時の日本国民は、
「水と安全を無料だと思っている」
と、揶揄されるほどに安全保障に対して無理解でした。
とはいえ、当時は大東亜戦争を戦い抜いた先人たちが、アメリカの核の傘に縛られつつも、防衛、防災、防犯、医療、エネルギー、食料といった各種安全保障の仕組みを整えて下さいました。おかげで、現在の我が国において、わたくしたちはそれなりに快適で安全な生活を送ることができているのですが、日本の安全保障に関連する「規制」を「岩盤規制」とレッテル貼りし、片端から破壊していっているのが現在の安倍政権であり、構造改革(成長戦略)です。
というわけで、わたくしの「「新」社会主義宣言」とは、安全保障について国民が認識することができた高度成長期、と、言い換えることができます。と言いますか、現在の日本が安全保障という需要を満たすため、各種の投資を行えば、生産性が向上し、国民が豊かになります。生産性が高まれば、下がり続けている実質賃金も反転します。
中略
しかも、決まって支給する現金給与総額で計算したので、景気により変動する一時金等は含まれておりません。ミルトン・フリードマンの言う「恒常的所得」が、これほどのペースで「実質で」増え続けたのが、かつての日本なのです。
ちなみに、究極の自由主義について「(現代の)アメリカ型」と、(現代の)を付けたのは、かつてのアメリカも高度成長期の日本と似ていたためです。70年代までのアメリカでは、所得税の最高税率が90%を超えており、当時の日本と変わりませんでした。
当時のアメリカにおいて、銀行業とはまことに退屈な仕事で、預金を集め、企業に貸し出す以外に仕事がほとんどなかったのです。ところが、その後、資本移動の自由化やグラス・スティーガル法の撤廃など、金融業の規制緩和が進み、リーマンショックへと突き進むことになりました。
日本とは比べ物にならないほどに「構造改革」(アメリカではstructural reformといいます)が進んだアメリカですが、そのアメリカの大統領選において、「民主社会主義者」を称するバーニー・サンダース候補が有力候補として残っている時点で、時代が変わりつつあるのを感じます。
『異端の2候補が覆した法則…トランプ&サンダース支持の原動力は同根の「怒り」なのだ ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇
http://www.sankei.com/world/news/160228/wor1602280040-n1.html
「どう解釈すればよいのか…」。米国政治研究の権威、コロンビア大学のロバート・シャピロ教授は首をかしげる毎日だ。
「政界有力者からの支持を多く得た候補者ほど、大統領選を有利に展開する」。政治学の世界には「裏書き効果」と呼ばれる有名な法則があるのだが、「米大統領選で、当初は泡沫(ほうまつ)候補とみられた共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のバーニー・サンダース上院議員が大健闘し、今回は法則が通用しない」(シャピロ教授)という。
米データ解析ウェブサイトが大統領選候補の「裏書き効果」を数値化したところ、共和党はルビオ上院議員がトップで150点、2位のクルーズ上院議員が34点。民主党はクリントン前国務長官が474点で1位になった(26日現在)。
だが、全米世論調査の平均値では上位の顔ぶれが変わる。共和党1位はトランプ氏の34%で、2位のクルーズ氏を14ポイント引き離した。民主党はクリントン氏が48%で1位だが、サンダース氏が42%と肉薄する。
実は、トランプ氏の裏書き効果は22点。サンダース氏は3点しかない。2人の「異端」が定説を覆したのだ。(後略)』
後略部で、サンダース支持者が、
「民主党ですら社会インフラの劣化を看過している。大学などの無償化を訴えるサンダース氏に共感を覚える」
と、語っていますが、今やウォール街に代表されるグローバル・マネーは共和党はもちろん、民主党にまで「献金」という形で流入し、アメリカの政治を「1% 対 99%」に導くように機能してしまっています。
カネで政治が動かされている現状に対する怒りが、サンダース、そしてトランプという二人の異端候補を「有力候補」に押し上げているわけです。
日本の構造改革は、アメリカに比べれば「まだまだ」ではございますが、第二次安倍政権誕生後に「改革」のスピードが増していっています。
さあ、このままでいいのですか?
と、全ての日本国民に問いかけたいからこそ、わたくしは「日本「新」社会主義宣言: 「構造改革」をやめれば再び高度経済成長がもたらされる 」を刊行するに至ったのです。
日本「新」社会主義宣言(中編)
2016-03-01 09:02:51
さて、予想通り「本を読むこともできず、言葉で反射的に思考するバカ頭が弱い方発見器」として機能しているかどうかは分かりませんが、徳間書店「日本「新」社会主義宣言: 「構造改革」をやめれば再び高度経済成長がもたらされる 」の胆は、
「生産年齢人口比率低下により必然的に深刻化する人手不足を、生産性向上で埋めたとき、日本は再び高い成長率を取り戻す」
になります。
高度成長期のように10%近い実質は無理だとしても、4~5%の実質GDP成長は普通に達成できるでしょう。
但し、もちろん上記の成長率は、
「政府が交通インフラなど生産性を高める投資を実施し、現在の需要不足を埋めたとき」
を実施した場合の話です。
特に、経済成長の「余地」が大きい日本の地方に、基盤となる社会インフラが整備されたとき、我が国は「地方経済中心」の高度成長路線に戻ることになるでしょう。
『国勢調査で人口減少 調査開始以来初めて
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160226/k10010422431000.html
去年行った国勢調査によりますと、日本の人口は1億2711万47人で、前回・5年前の調査と比べて94万7000人余り減りました。国勢調査で人口が減少したのは調査開始以来初めてで、総務省は「日本は人口減少の局面に入った」としています。
総務省が26日に発表した国勢調査の速報によりますと、去年10月1日現在の日本の人口は1億2711万47人で、前回・5年前の調査と比べて94万7305人、率にして0.7%減りました。』
国勢調査で人口が初めて減ったことを受け、例により「日本は人口減少で衰退する~」といった間違った認識が広まりそうですので、断言しておきます。日本の人口減少ペースは「誤差」であり、ついでに書くと経済成長と人口減少に相関関係はほとんどありません。
世界で最も人口減少ペースが速いのはジョージア(旧グルジア)ですが、同国の人口は何と2000年比で2015年までに17%も減りました。日本で言えば2000万人強の人口減に見舞われたことになります。ジョージアの人口減少率は、毎年、1%前後です。
それに対し、日本の人口は2000年比では「横ばい」です。
というわけで、ジョージアが日本以上のマイナス成長に見舞われているかといえば、そんなことはありません。むしろ、日本と比べるなど恥ずかしくなるほどのペースで経済成長しています。
2000年から2015年のジョージの経済成長率の平均は、何と5.6%。それに対し、日本は0.85%。まさに、桁が違います。
なぜ、ジョージアは人口がゾッとするほどのペースで減少しているにも関わらず、経済成長しているのか。なぜ、日本は人口が2000年比で横ばいであるにも関わらず、経済成長できないのか。
理由は、単に日本がバブル崩壊&緊縮財政でデフレ化し、ジョージアはバブル崩壊を経験しておらず、デフレにもなっていないため。ただ、それだけです。
などと書くと、
「日本は人口減少で経済が衰退するんだからっ!」
と、自らの間違った知識を訂正したくない頭の弱い方々は、
すぐに、
「日本はすでに成熟した先進国。ジョージアは未成熟で、キャッチアップの状況だから経済成長率が高い」
などと懸命に無駄な思考を巡らせ、自分を守ろうとするのですが、「キャッチアップ」とはつまりは生産性を高めるための「投資」を意味しています。産業革命後の資本主義の世界では、モノ(土地、工場、設備など、いわゆる「資本」)、ヒト、技術という「経済の三要素」に対する投資を拡大しない限り、生産性が上昇することはありません。
逆に、経済の三要素に投資することで、それ自体がGDPになる上に、将来の生産力を強化します。つまりは、生産性を高めます。投資とは、一粒で二度美味しいわけです。
その投資を、日本は橋本政権の緊縮財政以降、ひたすら縮小させてきました。これで経済が成長できたら、それこそ奇跡です。
なぜ、日本が政府含めて投資を減らしてきたのか。
それは、
「日本は国の借金で破綻する~」
「日本は人口減少で衰退する~」
といった、嘘言説を、国民はもちろん、政治家までもが信じ込み、将来に対する夢を失ってしまったためです。
「成熟云々」は、全く関係ありません。といいますか、「経済が成熟した」などと抽象的表現を使うのは、日本の一人当たりGDPが10万ドルを上回ってから言ってほしいです。
日本の投資が減ったのは、単に国民が自虐経済観にとらわれているためです。
そして、「日本は衰退する~」に牽引され、国内の投資が減れば、実際に経済成長率は低迷します。それを受け、「ああ、やっぱり日本は衰退するんだ~」と国民が信じ込み、投資を減らすという悪循環が続いているのです。
いい加減に、このバカバカしい循環を断ち切りましょ。
というわけで、諸悪の根源である「日本は国の借金で破綻する」「日本は人口減少で衰退する」といった嘘情報を数字で明確に否定し、国民が「将来のための投資」を拡大する根性、つまりはアニマル・スピリットを取り戻す一助になればと、わたくしは「日本「新」社会主義宣言: 「構造改革」をやめれば再び高度経済成長がもたらされる 」を書いたわけでございます。
日本「新」社会主義宣言(後編)
2016-03-02 08:30:14
政府が実施した新規十年物国債の入札において、落札利回りが初のマイナスになってしまいました。金融市場で高値(マイナス金利)で売買されるだけならともかく、新規発行分までマイナス金利になってしまうとは・・・。
また、衆議院において一般会計予算が、総額96兆7000億円という「過去最大」で通過しましたが、これは事実上の緊縮予算です。なぜなら、15年度当初予算と比べて4000億円「しか」増えていないためです。
ご存じの通り、政府は15年度補正予算として3.3兆円を通しました。このまま補正予算が講じられないと、約3兆円のマイナス予算になります。さすがに、補正予算を組まないなどということはないと思いますが。
ちなみに、新規発行国債は「抑制」と前年割れになってしまったので、いかに強弁しようと現段階では緊縮財政です。しかし、長期金利がマイナスになるほど銀行が国債を「切望」している状況で、緊縮財政。国債発行の抑制。
もはや、狂気です。
上記以外にも、中国の「大規模リストラ」、ギリシャ-マケドニア国境の難民と警官隊の衝突、フランスのカレーにおける難民キャンプ撤去、そしてアメリカのスーパーチューズデーなど、本ブログで取り上げなければならない話題が多いのですが、本日は「日本「新」社会主義宣言: 「構造改革」をやめれば再び高度経済成長がもたらされる 」のラスト。
高度成長期の日本は、「人が大事にされる」時代でした。理由は、別に日本の経営者が優しかった、といった話ではなく、完全雇用が成立していたためです。
高度成長期の完全失業率は極めて低く、60年以降は1.5%に達したことがほとんどありません。当時の日本は「超」人手不足でした。しかも、幸運なことに高度成長期の日本は冷戦の最前線で、外国人労働者を入れることができませんでした。
それが、幸いしました。
結果的に、経営者は「人を大事に」せざるを得ない状況で(何しろ「他に人がいない」のです)、雇用は安定化しました。同時に、生産者たる国民は企業で働き、自らの中に様々な技術、技能、スキル、ノウハウ等を蓄積し、人材に育っていったのです。
当たり前ですが、人間は「働く」ことで人材に成長します。働かない人は、人材にはなれません。どれほど優秀な教育を受けたとしても、働いた経験がない人は人材ではありません。
わたくしがよく言う人材投資とは、実は経営者が人を「雇い続けること」なのです。もちろん、人材教育等も大事ですが、現場の経験に勝る教育はありません。働ている人であれば、誰でも納得するはずです。
高度成長期は完全雇用が成立していたため、経営者が(少なくとも経営者側は)人を大事にせざるを得ませんでした。イコール「人材投資をした」という話です。
誤解している人が少なくないですが、高度成長期の転職率(労働移動率、入職率と離職率の合計)は、むしろ今よりも高かったのです。「高度成長=終身雇用=一度、就職すると、多くの国民がそのまま定年まで働き続けた」というのは、「日本は輸出立国」同様に数値データを無視したステレオタイプな嘘情報です。
なぜ、高度成長期の転職率が高かったのかといえば、それはもう、完全雇用で労働需要が大きかったためです。経営者は誰でもヒトを求めていたため、労働者側は良い条件を得るか、もしくは良い条件で転職できたのです。
ちなみに、日本の労働移動率が下がり始めたのは、1973年のオイルショック以降です。つまりは、高度成長期の終焉と同時に、労働移動率の低下が始まったのでございます。
今後の日本は、政策的な「妨害」が入らない限り、生産年齢人口比率の低下により完全雇用に向かうでしょう。すなわち、高度成長期同様に、経営者はモノ、ヒト、技術という経済の三要素のうち、「ヒト」を大事にせざるを得ない時代が訪れるのです。
同時に、不足するヒトで需要を満たすためには、これまた高度成長期同様にモノ(資本)や技術への投資を拡大する必要があります。さもなければ、我が国はインフレ率が健全な範囲を超えて上昇し、国民が十分にモノやサービスを手に入れることができない発展途上国と化してしまいます。
いかがですか。人口減少を単純に嘆くのではなく、「高度成長期と同じ環境が来る」と考えるだけで、将来のために投資をするアニマル・スピリットが湧いてきませんか。
安倍政権は、上記を政策的に「妨害」する動きを見せています。すなわち、外国人労働者の受け入れです。これは、これだけは、決してやってはいけないのですが、そちらの方向にひた走っています。
さらに、安倍政権は余計な労働規制の緩和も推進しています。安倍政権の現在の雇用政策は、明らかに日本経済の成長を「阻害」しているのです。
経済成長が「インフレギャップ下における生産性向上」以外では起きない。生産性向上のためには「構造改革」とやらではなく、モノ、ヒト、技術という経済の三要素を強化するための投資、すなわち設備投資、人材投資、公共投資、そして技術開発投資の四投資しかないということを知れば、安倍政権がいかに間違っているかが誰にでも理解できるはずです。
もっとも、高度成長期は別にバラ色の時代というわけではなく、地方から東京への人口の移動が進み、現在の東京一極集中や少子化の遠因になりました。というわけで、今後の日本は安全保障を国民が意識し、
「東京圏から地方への人口・企業の移転」
も、経済成長の「手段」の一つとして採用するべきなのです。そうすることで、我が国の安全保障が強化される(リスク分散により)のに加え、実質賃金上昇と地方分散が組み合わされることで、少子化が最終的に解決に向かうことになります。
そのために、必要なのは何か?
この辺の話は、「真・地方創生(仮)」のテーマなのでございますが、いずれにせよ安倍政権の経済政策は、情けなくなるほど間違いだらけです。これを正すことこそが、未来の「日本国民」に対する現在の日本国民の責任だと思うのです。
続いて「YOUTUBE」です。
日本新社会主義宣言 三橋貴明著
1,383 回視聴2016/04/09
ejndes
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日本「新」社会主義宣言(前編)
2016-02-29 10:19:39
日本「新」社会主義宣言(中編)
2016-03-01 09:02:51
日本「新」社会主義宣言(後編)
2016-03-02 08:30:14
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