#藤井聡 #中野剛志 #富国と強兵 #地政経済学序説

「新経世済民新聞 Facebook friend - 藤井聡」様より

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ありがとうございます。

感謝です。


コラム 2017年1月3日


【藤井聡】今年はまずは『富国と強兵』をじっくり読んでみよう!

FROM 藤井聡@京都大学大学院教授


【オススメ】

日本が国連に2億ドル払える理由

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TVが放送を自粛する意外な真実とは

http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php


皆様、あけましておめでとうございます!

2017年、平成29年、となりました。


ちなみに、「去年」と「一昨年」を比べれば、幸か不幸か去年よりも「一昨年の方が随分とよい年」だったように思います。


増税の影響は、一昨年よりも去年の方が深刻化し、内需成長率は、三四半期連続の「衰退」を余儀なくされました。


おまけに「国債発行額」の水準から見れば政府は明確に「緊縮」財政の度合いを一昨年から去年にかけて深めてしまいました。


しかも外交問題でも去年は、一昨年末の「日韓合意」のために戦後レジーム(日本=悪、アジア=被害者、欧米=善、という物語)を強化する報道が世界中を駆け巡るという途轍もないコストを支払ったにも関わらず、韓国大統領スキャンダルによってその合意も「反故」にされるリスクが増大してしまいました。と同時に、北方領土や広島原爆投下問題等についても、様々な「物議」を醸す事態が生じました。


そして世界経済のデフレ(需要不足)は、その深刻さの度合いを深め続けています。


こうした「被害」ないしは「リスク」は一昨年には存在していなかったことを踏まえれば、一昨年は去年よりも「よい年」だった――つまり、去年はその前の年寄りも「わるい年」だったと言えるのではないかと―――と思われるわけです。


――ですが、「去年」も決して悪いことばかりではありませんでした。


青木先生がご指摘の様に、消費増税が延期されたことや、リフレ派が実質的に敗北してリフレ派の象徴である浜田参与が当方の参与意見と同様に「積極財政」を必要だと宣言された事、さらには、国益を棄損する「リスク」が高かったTPPが事実上破棄される見通しが高くなった事等は、(あくまでも個人的な学者としての見解を申し上げれば)「僥倖」といえるものでした。

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/12/10/aoki-33/


ただし、これらの「僥倖」は「ネガティブなものを食い止めた」というだけの話しであって、必ずしも「ポジティブなハッピー」な話しでもなんでもありません。


そもそもTPPなんてなくて当たり前だし、消費税も「常識」さえあれば増税するはずもないものですし、「リフレ理論」ももちろん愚か者さえいなければ主張されるはずもない代物だったからです。


とはいえ、昨年においても「ポジティブ」な意味でよかったと言えるものも、一部存在していました。その中の代表的なものこそ、

『富国と強兵』(中野剛志著)

が出版されたこと(!)、でした。

https://www.amazon.co.jp/%E5%AF%8C%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%BC%B7%E5%85%B5-%E4%B8%AD%E9%87%8E-%E5%89%9B%E5%BF%97/dp/4492444386


(それはちょうど一昨年の三橋さんの大忘年会で、その前の年よりも良かったのは『英語化は愚民化』(施 光恒著)が出版されたという事だけだった、と申し上げたのと、同じような話しですねw)。


この『富国と強兵』は、一言で言えばまさに、

「素晴らしい本」。


何が素晴らしいかといえば、


1)現在の政治経済政策を考える上で「大切な事柄」であるにも関わらず、世論にも学術界にもあまり「知られていなかった」多くの「学術的知見」が、著者の「俯瞰的」「総合的」な視点から改めて「統一的に再解釈」された上で、


2)その解釈内容が「現代の日本人」のために了解しやすい形で「極めて簡潔」に取りまとめられている、

という点です。


この1)は学術的(あるいはアカデミック)な仕事であり、そして、2)は実践的(あるいはジャーナリスティック)な仕事です。


したがって、この中野さんによる『富国と強兵』という仕事は、

アカデミック・ジャーナリズム(学術的ジャーナリズム)

であり、かつ、


ジャーナリスティック・アカデミズム(ジャーナリスティック学術)

と呼ぶべきもので、いずれの視点から見ても秀逸な仕事だと感じた次第です。


この書籍は、政策に関心の「実践家」(ジャーナリストや評論家、政治家、評論家などの実践家、そしてそれらに最大の影響を持ちうる一般大衆世論)のみならず、人文社会科学に関心を持つ「学者」(アカデミシャン)も、是が非でも読むべき書籍、として位置づけられるものです。


もちろん、ジャーナリスティックな視点から言うなら、600頁にも及ぶこの本はとても「簡潔にまとめられた本」とは思えない――と考えられるのではないかと思いますが、アカデミックな視点から言うなら、これだけ網羅的な事項を「たった」600頁にまとめたという事実は、実に驚くべきものです。


そもそも当方は『富国と強兵』の各々のページを読みながら、それぞれのページに記載された情報量の濃密さに驚愕しました。なぜなら、これまでのアカデミック(学術)の常識で言うなら、それぞれのページは、そこに記載された事実を論証するにはそれぞれ数十ページから数百ページの論証が求められるような事柄で埋め尽くされているからです。


つまり『富国と強兵』は、ジャーナリズムの視点から言うなら「分厚すぎる」という印象をもたらすかもしれませんが、アカデミズムの視点からは異例とも言える「簡潔さ」を持った書籍なのです。


ただしその「簡潔さ」は、以下の二つの条件が見事にクリアされているが故に、「アカデミズム」の視点から十分に許容されるものであると筆者は確信しました。


第一に、『富国と強兵』には、おおよそ、一般書としては慰霊とも言える程に豊富な32ページにも及ぶ参考文献が付与されている、という点です。


この豊富な文献リスト故に、『富国と強兵』で論じられた各論点について「より深く理解する」ことも、『富国と強兵』で論じられた各論点に「理性的な反論を果たす」ことも、同時に可能となっています(文献リストが貧弱では、さらなる理解も、理性的反論も困難となってしまいます)。


ちなみに、こうした「参考文献を読める可能性」と「参考文献にあたる義務」とを喚起することこそ、アカデミズムにおいて最も重視されている基本マナーの一つ。


なぜならアカデミズムにおける運動は、その本質において「知的共同作業」であり、そのためには、意味ある参考文献リストは、何よりも大切な意味を持つのです。


ただし、以上の第一点目よりもより重要なのが、『富国と強兵』の議論が、


「現在の人類の営みは、経済論理(富国)と地政論理(強兵・戦争)の『弁証法』によって展開している」


という「唯一」の視点(つまりは“地政経済学”と呼ばれるパラダイム)に基づいて「俯瞰的」に、多くの分野のこれまでの研究や様々な歴史的・地理的な政治・経済現象が再解釈されており、それを通してその「視点」が、如何に正当な視点なのかが説得的に論述されている、という点です。


この点こそ、本書が「アカデミズム」の視点から貴重な価値を有している、第二の(そしてより本質的な)根拠です。そもそも、人文社会科学とは(そして、厳密に言うなら全ての自然科学も)、その本質は新しい

「解釈」

を世界に付与し、人類に提示するところ、にあります。


『富国と強兵』は、まさに、そうした「新しい解釈の付与」を行う、極めて純度の高いアカデミズム作業を図るものとなっています。


なんと言っても、これだけ大量の参考文献に目を通すのはかなり骨の折れる作業――しかも、それを統一的に解釈という作業はさらに絶望的な労力が必要――なところを、本書はそれらの仕事をたった600頁読むだけで成し遂げられるわけですから、たいへんに貴重な有り難い、書籍、となっています(しかもそれを、外国語の翻訳でなく、現代日本人が読みやすい日本語で書かれてるのですから、こんなに有り難い話しはありませんw)


だからこそ、この書を一冊読めば、


「なるほど、今のような形での世界中の『経済の発展』の仕方は、『戦争』という要素が無ければあり得なかったんだ、そして『戦争』の歴史というものは、経済的背景が違えば、全然違うものになってたんだ――」


ということが深く納得できるようになっています。そしてだからこそ、


「そっか、それなら日本の経済政策を考えるんだったら、安全保障に関する背景も見据えて俯瞰的に考えなきゃ、大きく間違っちゃうよなぁ。逆に、日本の安全保障を考えるんだったら、日本と世界の経済の動向と構造、そして経済政策をよくよく考えなきゃ、全然、『安全が保障されない』っていう、危機に陥っちゃうよなぁ――」


という、極めて実践的な認識を得ることもできるようになっています。そしてだからこそ、


「でも、今の日本の『風潮』じゃぁ、そういう認識には到底辿り着きそうもないから、日本の経済も安全保障も、こりゃ、そうとうヤバいなぁ――」


ということが痛いほどにわかってしまうものでもあります。


そして、こうした認識にたどり着くからこそ、「ジャーナリズム」としても『富国と強兵』は、非常にパワフルな出版となっている――という次第です。


……などなどと書いているうちに、メルマガの基本的な字数をかなり超えてしまいましたので、『富国と強兵』のさらなる具体的な中身については、またの機会にお話ししたいと思いますが、是非、メルマガ読者の方も今年は、『富国と強兵』をじっくりとお読みいただきたいと思います。


―――ということで、今年もよろしくお願い致します!


—発行者より—


【オススメ】

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続いて「YOUTUBE」です。


【オーディオブック/朗読】富国と強兵

2021/07/07

オーディオブック配信audiobook.jp

チャンネル登録者数 6110人

オーディオブック版『富国と強兵』

https://audiobook.jp/product/262093

著者中野剛志

ナレーター津々良篤

再生時間 24:02:02

出版社 東洋経済新報社

出版日 2016/12/9

販売開始日 2021/7/7

将来のアメリカ大統領候補と言われている

若き女性リーダー「オカシオコルテス」下院議員も提唱し、

大論争となっている「現代貨幣理論」(MMT)を

冒頭1章から3章で詳細に解説!

衰退著しい覇権国アメリカ、混乱する中東、

クリミアを強引に奪取するロシア、東シナ海

、南シナ海で挑発行為をやめない中国。

パワーバランスが大変動する今、「地政学」という、

古めかしく、禍々しいニュアンスすら伴った言葉が現代に蘇ってきている。

一方でこれまでの地政学的思考だけで、世界を分析し、

生き抜くことは非常に困難だ。

経済が地政学的環境にどのような影響を与えるのか、

またその逆についても考察を及ばさなければならない。

そうしなければ国際政治経済のダイナミズムを理解できず、

戦略を立案することもできない。

そこで、地政学と経済学を総合した

「地政経済学」とも呼ぶべき新たな思考様式が必要となる。

本書では、「地政経済学」とは、「富国」と「強兵」、

すなわち経済力と政治力・軍事力との間の密接不可分な関係を

解明しようとする社会科学であることを示し、

地政学なくして経済を理解することはできず、

経済なくして地政学を理解することはできないことを

明らかにする。

『TPP亡国論』で日米関係のゆがみを鋭い洞察力で

えぐり出した著者が、資本主義終焉論と地政学が復活する

今と未来を読み解く渾身の書き下ろし大著。

ポスト・グローバル化へ向かう政治、経済、軍事を

縦横無尽に読み解く気宇壮大な21世紀の社会科学がここにある!

【朗読】『富国と強兵』(中野剛志 著) 第1章第2節「貨幣とは何か」

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中野剛志氏の著作『富国と強兵ー地政経済学序説ー』の解説動画2本目です。

地政経済学の中核となる概念「ゴーイング・コンサーン」についての概説動画です。

抽象度の高い概念なので上手く説明できているか不安ですが、ご視聴いただけれは幸いです。

コラム 2017年1月3日

【藤井聡】今年はまずは『富国と強兵』をじっくり読んでみよう!

「新経世済民新聞」

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