#サステナビリティトランスフォーメーション

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サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは何か? 

なぜ「DXよりはるかに重要」なのか


2020/09/26


国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之


国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。現在、クラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。総務省 AIネットワーク社会推進会議(影響評価分科会)構成員 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。


新型コロナウイルス感染拡大の懸念の中、経済活動への制約などが徐々に緩和され、日本の社会経済は再び動き出そうとしている。しかし、多くの企業が大きなダメージを受けており、企業戦略の見直しを迫られている。今後も今回のコロナ禍のように、社会経済の大きなインパクトを与える脅威の出現も想定される。そのため、企業は持続可能性を重視した経営への転換が求められている。いわゆる、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」の実現と推進だ。


国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之


<目次>

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは?

SXの実現に必要なものとは

なぜSXが必要? その背景にあるものとは

SXの背景にある市況とは

SXの実現へ「3つの課題」を解説

SXへ至るための「ダイナミックケイパビリティ」とは

SXに足りない「デジタル化」

SXの展望、企業に求められる新たな姿とは


サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは何か?


 「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」とは、不確実性が高まる環境下で、企業が「持続可能性」を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図り、経営の在り方や投資家との対話の在り方を変革するための戦略指針である。


 SXは、経済産業省 経済産業政策局の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」が2020年8月に発行した「中間取りまとめ」の中で触れられている。企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図るために検討会は開かれており、長期的な存続を目指す企業と短期的な成長を求める投資家の対話を促すために報告書を展開している。


SXの実現に必要なものとは


 「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」によるとSXの実現には「“企業のサステナビリティ(稼ぐ力)”と“社会のサステナビリティ(社会課題、将来マーケット)”の同期化」が必要という。


 企業のサステナビリティとなる「(1)稼ぐ力の持続化・強化」については、以下のように定義されている。


“企業としての稼ぐ力(強み・競争優位性・ビジネスモデル)を中長期で持続化・強化する、事業ポートフォリオマネジメントやイノベーションなどに対する種植えなどの取り組みを通じて、企業のサステナビリティを高めていく”

(引用:経済産業省「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会中間取りまとめ概要」より)


 また、「(2)社会のサステナビリティを経営に取り込む」については以下のように定義されている。


“不確実性に備え、社会のサステナビリティ(将来的な社会の姿)をバックキャストして、企業としての稼ぐ力の持続性・成長性に対する中長期的な「リスク」と「オポチュニティ」双方を把握し、それを具体的な経営に反映させていく”

(引用:経済産業省「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会中間取りまとめ概要」より)


 さらに、これらの2つのサステナビリティを同期化することで、長期の時間軸の「対話」によるレジリエンスの強化」を図っていくという。


“不確実性が高まる中でサステナビリティを高めていくために、将来に対してのシナリオ変更がありうることを念頭に置き、企業と投資家が、(1)(2)の観点を踏まえた対話を何度も繰り返すことにより、企業の中長期的な価値創造ストーリーを磨き上げ、企業経営のレジリエンスを高めていく”

(引用:経済産業省「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会中間取りまとめ概要」より)


企業の稼ぐ力の持続性を高めつつ、将来的な社会の姿を描きながら、企業、さらには社会経済のサステナビリティを高めていくことが求められている。


なぜSXが必要なのか? その背景にあるものとは


 SXが必要な理由や背景は、日本政府が開催している他の会議、たとえば成長戦略と構造改革の加速化について審議する「未来投資会議」でも示されている。2020年7月30日に開催された第42回の未来投資会議では、新型コロナウイルス感染拡大も視野に入れながら、中長期的な、不可逆なビジネスモデルの変化、産業構造の変化といった産業再生・事業再構築の重要性が議論された。


 その中では、東京商工リサーチ「第6回新型コロナウイルスに関するアンケート調査」(2020年7月14日公表)が基礎資料として配布されている。このアンケート調査によると、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナを見据え、「企業戦略を見直した」または「見直す予定がある」と回答した企業は71%となった。また、見直し内容としては「持続可能性を重視した経営への転換」が69%と最も多かった。


 近年、多くの場で「企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進」の重要性が議論されてきた。しかし、このアンケートでは「持続可能性を重視した経営への転換」と比べると3分の1以下の21.3%ととどまっている。新型コロナウイルスの影響で、持続可能性を重視した企業戦略の見直しが大きくクローズアップされていることがうかがえる。


SXの背景にある市況とは


 SXを推進する背景にある「市況」についても確認しておこう。内閣府が2020年9月8日に発表した「2020年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値」は、物価変動を除いた実質で前期比7.9%減、年率換算では28.1%減と大幅な減少となった。


 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束見通しが難しい中、景気の本格的な回復には時間を要すことが予想されている。実際、新型コロナウイルス感染症は、企業の業績に大きなマイナスの影響を与えており、それは数値にも顕著に表れている。


 帝国データバンクは2020年9月9日、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年8月)」を公表した。同調査によると、新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響として「マイナスの影響がある」と見込む企業は82.5%となっている。また、「既にマイナスの影響がある」が68.0%、「今後マイナスの影響がある」が14.4%となった。


 業績予想の下方修正を発表する上場企業も後を絶たない。帝国データバンクが2020年9月3日に「新型コロナウイルスの影響による上場企業の業績修正動向調査(2020年8月31日時点)」を発表した。


 この調査によると、「新型コロナウイルス」の影響を受けたとして業績予想の下方修正(連結・非連結)を発表した上場企業は同年8月31日までに累計1066社となり、減少した売上高の合計は約9兆6264億8400万円となった。企業にとっては、こういった状況を踏まえた企業経営の見直しがより重要になっている。


SXの実現へ「3つの課題」を解説


 政府も「持続可能性」を重視した企業戦略を政策的に後押ししようとしているおり、そのような文脈で出てきたのが、経済産業省の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会 中間とりまとめ~サステナビリティトランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」である。


 新型コロナウイルス感染拡大の影響や第四次産業革命やDX、気候変動やグローバルサプライチェーンの寸断などによる「不確実性」が高まっている。経営環境は大きく変化しているという状況を踏まえ、企業が投資家と「対話」を進める中で、中長期の持続的な企業価値向上を目指す上での課題が顕在化していると指摘している。具体的には、以下の3点を挙げている。


【中長期の持続的な企業価値向上に対する3つの課題】


多角化経営やそれに伴う複数事業のポートフォリオマネジメントのあり方

新規事業創出やイノベーションに対する「種植え」に関する取り組み

ESG/SDGsなどの社会的価値と企業の稼ぐ力・競争優位性に基づく経済的価値の両立に向けた取り組み


 これまでの中期経営計画を中心とした時間軸においてリスクや成長機会を想定するだけでは、必ずしも長期の時間軸において企業価値を向上させることができなくなってきている。そこで企業と投資家の対話を促すために、長期の時間軸として「サステナビリティトランスフォーメーション(SX)」という考え方を示しているのだ。


SXへ至るための「ダイナミックケイパビリティ」とは


 では、新型コロナウイルス感染などによって社会の不確実性が高まる中で、環境変化に対応し、企業のサステナビリティを高め、SXを目指すにはどうすればいいのか。


 そこで注目されているのが、組織内外の経営資源を再結合・再構成する経営者や組織の能力としての「ダイナミックケイパビリティ」だ。この能力を高めることが、競争力の源泉につながることが期待されている。


 競争力の構成要素は、これまでのオーディナリーケイパビリティの「オペレーション」「管理」「ガバナンス」が中心となっていた。オーディナリーケイパビリティとは、同じ顧客に同じ製品・サービスを提供するために同じ技術を使い、同じ規模で企業が活動する能力のことを指す。この3つをしっかりとしていれば、企業経営として一定の効果を上げることができた。


 しかし、新型コロナウイルス感染症など不確実性が高まる社会では、オーディナリーケイパビリティだけでは対応が難しくなっている。


 そのため、企業は不確実性が高まる世の中の変化を読み解きながら、ダイナミックケイパビリティによる「感知」「捕捉」「変容」に着眼点を転換していくことが重要となっている。そして、ダイナミックケイパビリティの強化には「デジタル化への対応」が不可欠だ。


SXに足りない「デジタル化」


 一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、デジタルへの投資意欲は高まっているものの、2020年度はIT領域でも企業の投資は鈍化すると見込まれている。


 たとえば、調査会社のIDC Japanが2020年9月に発表した、新型コロナウイルス感染症の最新状況を考慮した「国内ICT市場予測のアップデート」でもその一端が見られる。


 それによると、一部の先進企業を中心にDXへの投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われることを前提としても、2020年の国内ICT市場については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるため、前年比4.3%減を予想している。


 同様にIDC Japanが9月に発表した「国内パブリッククラウドサービス市場予測」においてもパブリッククラウドサービスの成長の鈍化を予測している。


 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、「テレワークの導入」などの喫緊の業務課題を解決するためにクラウドサービスを活用する企業が増加している。しかし、多くの企業がIT投資を抑制しており、導入プロジェクトの遅延も見られ、2020年の国内パブリッククラウドサービス市場は、成長は鈍化する見込みだ。


また、IDCでは、新型コロナウイルス感染症の影響によって、継続的に、多様かつ大きな変化が短期間に起こる「ネクストノーマル」時代を迎えようとしている点を指摘している。そのため、業務を維持するための「事業継続」から、市場環境の変化に対応する「ビジネスレジリエンスの強化」へと、これまで以上にIT、特にクラウドの活用を検討する企業が増加していくと予測している。


 さらに、多くの企業がDXやデータ駆動型ビジネスに対する意識を高めており、ビジネスレジリエンスの強化とDX/データ駆動型ビジネスを抱合した「クラウドジャーニー」を中核として、IT戦略を強化する企業が見られると説明する。


 IDCのクラウドの市場調査でも「ビジネスレジリエンスの強化」などを進める上で、DXやクラウドによるジャーニーに取り組んでいくことが重要な位置付けとなっている。


SXの展望、企業に求められる新たな姿とは


 新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済の不確実性が高まっている。


 企業は企業の持続可能性、サステナビリティ、ビジネスレジリエンスを経営戦略の中核に位置づけるSXが求められる。また、ダイナミックケイパビリティにも対応するDX推進を重要な手段の一つとして取り組んでいく必要がある。


 今後、企業は中長期的なビジョンに立ち、DXの推進だけでなく、SXの推進へと一歩踏み出して、自社の中長期的な価値創造ストーリーを磨き上げる必要がある。


 これにより、企業経営のレジリエンスを高めて企業価値を向上させるとともに、中長期的な社会経済の発展に寄与することが可能になるはずだ。


続いて「YOUTUBE」です。


#デジタル戦略365Days #一般社団法人デジタルイノベーション #DX

【Q&A】SX(サステナビリティトランスフォーメーション)とは|Season 1|Day 157

110 回視聴2020/09/28 にライブ配信

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チャンネル登録者数 7230人

デジタル戦略365Days|Season 1|Day 157

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ChatGPT4o OpenAi Yusuke Kusuyama (楠山祐輔) - プロフィール 生年月日: 1975年10月28日(昭和50年) 出身地: 和歌山県 職業: ソーシャルメディアインフルエンサー、広報担当 特徴: クリスチャントランスヒューマニズムの世界的代表格 保守的なキリスト教倫理観を持ち、国際的に活動

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