ローレンス・クラウス - ウィキペディア 和訳
「詳しくは下を参照」
経済学者ローレンス・B・クラウゼと混同しないように.
ローレンス・マクスウェル・クラウス(1954年5月27日生まれ)は、アリゾナ州立大学、イェール大学、ケースウェスタンリザーブ大学で教鞭をとっていたアメリカ系カナダ人の理論物理学者で宇宙学者です。彼は宇宙に関する基本的な質問を調査するためにASUの起源プロジェクト(現在はASU惑星間イニシアチブと呼ばれる)を設立し、プロジェクトのディレクターを務めました。 [2]
クラウスは、科学の公共理解のための支持者である, 健全な経験的データに基づく公共政策,科学的懐疑論、そして科学教育.反人であるクラウスは、大衆文化における迷信と宗教的教義と見なすものの影響を減らそうとしています。 [3]
クラウスは、スタートレックの物理学(1995)や何もない宇宙(2012年)を含むいくつかのベストセラー本の著者であり、スポンサーの原子科学者委員会の会報の議長を務めました。
クラウスによる性的な違法行為に関する疑惑を調査したASUは、大学の方針に違反し、2018年7月にオリジンズプロジェクトのディレクターを3期目に更新しなかったと判断しました。 [4]クラウスは2019年5月に引退するまでASUの教授として続けた[5]。 彼は現在、起源プロジェクト財団[6]の会長を務め、ローレンス・クラウスとの起源ポッドキャストのホストとして. [7]
初期の生活と教育
クラウスは1954年5月27日にニューヨークで生まれましたが、幼少期をトロントで過ごしました。彼はユダヤ人だが宗教的ではない家庭で育ちました。 1977年にオタワのカルトン大学で数学と物理学の学士号を取得し、1982年にマサチューセッツ工科大学で物理学の博士号を取得しました。 [9][10]
キャリア
ハーバード大学フェロー協会でしばらく経った後、1985年にイェール大学の助教授、1988年に准教授に就任しました。1993年にエール大学を離れ、アンブローズ・スワシー物理学教授、天文学教授、2005年まで物理学部長に任命された。2006年、クラウスはケースウェスタンリザーブ大学のエドワード・M・ハンデルト学長と芸術科学大学の教員によるジョン・L・アンダーソンの挑発者に対する不信任投票のイニシアチブを主導しました。2006年3月2日、いずれも、ハンデルトに対して131-44、アンダーソンに対して97-68の不信任投票が行われた。 [11]
2008年8月、アリゾナ州立大学の教授としてアリゾナ州立大学の教授に加わり、理学系学部物理学科地球宇宙探査学部の基礎教授を務めました。また、「人類の原点に関する最も基本的な疑問を探求するために作成された」大学のイニシアチブであるオリジンズプロジェクトのディレクターに就任しました。 [2]2009年、彼は80人の科学者が参加し、3000人が参加したオリジンズシンポジウムで、このイニシアチブの開始を支援した[ [13]
オリジンズプロジェクトへの寄付者には、金融家で性犯罪者のジェフリー・エプスタインが運営する「強化教育」と呼ばれる財団が含まれていました。2011年、クラウスはエプスタインとの関係を擁護し、「科学者として、私はいつも経験的証拠について物事を判断し、彼はいつも彼の周りに19歳から23歳の女性を持っていますが、私は他のものを見たことがないので、科学者として、私の推測は、私の推測は、私が他の人よりも彼を信じるだろうということです。 [14]
クラウスは、科学の公共のアウトリーチを容易にするために、国内外のメディアに登場します。彼はまた、ニューヨークタイムズの社説を書いています.オハイオ州の州教育委員会の前に2002年に彼の出現の結果として、インテリジェントデザインへの彼の反対は、全国的に顕著になりました。 [15]
クラウスは2006年11月と2008年10月にビヨンド・インビシズ・シンポジアで講演を行いました。彼はバラク・オバマの最初の(2008)大統領選挙運動の科学政策委員会で働き、また2008年には原子科学者会報のスポンサーの取締役会の共同会長に任命された。2010年には米国科学者連盟の理事に選出され、2011年6月にはロンドンの私立大学である新人文科学大学の教授に加わった。2013年、オーストラリア国立大学物理学部天文学研究科非常勤教授を受け入れた[16]。 [17]
クラウスは弦理論の批評家で、彼は2005年の著書『鏡に隠れる』の中で議論している。 2012年の著書『何もない宇宙』の中で、弦理論について「この驚くべき理論的建物が実際に現実世界と関係があるかどうかはまだ分からない」と述べている。 2011年3月に発売された別の著書『クォンタム・マン:リチャード・ファインマンの科学生活』と題して、リチャード・ドーキンスの後言を言った『何もない宇宙』が2012年1月に発売され、1週間以内にニューヨーク・タイムズのベストセラーとなった[もともと、その前言はクリストファー・ヒッチェンスによって書かれたはずだったが、ヒッチェンスはそれを完了するにはあまりにも病気になった。本書の文庫版は、2013年1月に新しい質疑応答セクションと、大型ハドロン衝突型加速器でのヒッグス粒子の2012年発見を統合した序文で登場した。2017年3月21日、彼の最新の著書『今まで語った中で最も偉大な物語』—これまでに:なぜ私たちはここにいるのか?ハードカバー、文庫本、オーディオ版で発売されました。
クラウスによって書かれたニューズウィークの2012年7月の記事は、ヒッグス粒子がビッグバンの理解にどのように関連しているかを示しています。彼はまた、粒子の背後にある科学と重要性を説明するニューヨークタイムズに長い作品を書きました。 [23]
2019年1月、クラウスは科学、文化、社会問題に関する公開パネルディスカッションを開催することを目的とした非営利団体、オリジンズプロジェクト財団の会長に就任しました。 2019年6月21日、新しいビデオポッドキャスト、ローレンス・クラウスとの起源ポッドキャストがクラウスをホストとして発売した[1]。第1話にはリッキー・ジェルヴェイス、ノアム・チョムスキー、ジェニー・ボイランとの対話が含まれていた。
科学的な仕事
クラウスは理論物理学の仕事を中心に、その分野で様々なトピックに関する研究を発表している。
1995年、彼は宇宙のエネルギー密度が空き空間のエネルギーによって支配されていることを提案した。
1998年にこの予測は2つの観察的なコラボレーションによって確認され、
2011年には
ノーベル賞が受賞した[クラウスは、
2012年の著書『何もない宇宙』で概説されているように、宇宙が潜在的に「何もない」から来ることができるモデルを策定しました。彼は、相対論的量子場の特定の配置は、我々が知っているように、宇宙の存在を説明するかもしれないと説明する一方で、彼は「量子力学を当然と考えるという考えが有用に分配されるかどうか分からない」と主張している。彼のモデルは宇宙の実験的観測(その形状やエネルギー密度など)に一致しているように見えるので、それは「もっともらしい仮説」と呼ばれる。 [40][41]彼のモデルは、しかし、宇宙学者ジョージ・エリスによって批判されています, [42]それは「科学をテストされていません」が、「哲学的投機」と言いました.
当初、クラウスはヒッグス粒子の存在に懐疑的でした.しかし、CERNによって検出された後、彼はヒグスフィールドが暗黒エネルギーの性質に及ぼす影響を研究してきた。 [44]
続いて「とね日記」様より
シェア、掲載。
ありがとうございます。
感謝です。
とね日記
理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!
感想:NHK宇宙白熱教室:第4回:
そしてダークエネルギーの発見 ~私たちのみじめな最後~
2014年07月12日 14時13分26秒 | 天文、宇宙
先日「番組告知:NHK宇宙白熱教室(ローレンス・クラウス教授)」という記事で告知した4回シリーズ番組の4回目が昨夜放送された。
今回の講座の内容は数式を使った説明以外は「宇宙が始まる前には何があったのか?:ローレンス・クラウス」(Kindle版)(紹介記事)に沿うものだった。
高校で物理や数学が苦手だった方にとっては難しい数式があいかわらずたくさんでてきたが、そのような人にとっても話の筋が理解できる見せ方をしていたのがよかった。この番組について次のようにツイートされた方がいるのが目にとまった。まさにそのとおりだと思う。
「宇宙白熱教室見終わった。力学的エネルギーとか万有引力の法則とかケプラーの法則とか高校物理でやる話がこんなにもスケールの大きい話だとは・・・公転周期が同じだからケプラーの法則は成り立たなくなるとか面白すぎるし、話してた人の最後のまとめ方うますぎて涙でそうになりました。」
いつものように「主な内容」、「解説」、「良かった点、素晴らしいと思ったこと」、「改善したほうがよいと思ったこと」、「その他、気がついたこと」というくくりで感想をまとめておこう。
主な内容
このような流れで講義は進んだ。
- 単純な論理の積み重ねによって大発見がなされた。ガリレオ、ニュートンの発見の積み重ねである。
- グラフの解説。銀河系の外側を回る天体の公転速度はケプラーの法則に反して一定だった。それは何を意味するのか?
- 銀河系の外側には分子雲や球状星団、大マゼラン雲、小マゼラン雲が回っている。
- 重力の法則がスケールによって異なるから?その可能性は否定された。
- 質量が距離に比例して増えれば公転速度は一定になる。
- 銀河系の外側に目で見える通常の物質の10倍の物質が存在することになってしまう。
- 女性天文学者ヴェラ・ルービン(1928~)による発見。
- 彼女は他の天体(高温のガスなど)の公転速度が一定だということを発見。
- 測定したすべての銀河で公転速度は一定だった。
- 未知の物質の存在が明らかになった。ダークマター(暗黒物質)の発見。
- なぜ未知の素粒子であるかわかったのか?
- 銀河団の質量の測定が鍵だった。
- 1936年のアインシュタインの論文(マンドルによる依頼)。
- 1919年にエディントンの観測により光が重力で曲がることが観測された。
- これは重力レンズ効果を意味する。一般相対性理論が根拠。
- アインシュタインはこの論文の重要性は理解していなかった。
- 銀河団による重力レンズ効果の観測による実証。ハッブル望遠鏡による。
- 重力レンズ効果によって青い光は銀河団の50億年先の1つの天体が複数に見える。
- これによって銀河団の質量分布を計算することができる。
- 質量分布の尖っているところは銀河の質量。
- そのまわりに10倍の質量がまとわりついていることがわかった。
- 銀河と銀河の間には全体で銀河の質量- の40倍もの質量が分布していることが計算された。
- 宇宙の質量のほとんどは目に見えないということがあらためて実証された。
- ダークマターの重力に引き寄せられて目に見える通常の物質(銀河)が存在している。
- これで通常の物質とダークマターをあわせた質量を測ることができた。
- ダークマターは未知の素粒子だとわかるのは、次元解析でわかる陽子と中性子の量より10倍たくさんあるから。
- ダークマターは宇宙だけでなく、私たちの周囲にもある。
- 宇宙の未来を探るため、宇宙のエネルギーを調べたことを思い出してほしい。
- 重力レンズなどによる宇宙全体の質量Mの測定をした結果、宇宙の端の銀河Aを引き止めるのに必要な量の30%しかなかった。(質量Mには通常物質とダークマターが含まれる。)
- これは運動エネルギーが位置エネルギーの3倍大きいことを意味する。つまり宇宙全体のエネルギーはプラスになる。
- これは宇宙は永遠に膨張することを意味する。でもこれは間違いであることがわかるようになる。
- そのために一般相対性理論を導き出そう。計算が始まる。(後述の解説を参照)
- アインシュタインの方程式は宇宙の膨張と密度の関係を教えてくれる。
- Κ(カッパ)は宇宙の曲率をあらわす。
- Κがマイナスなら開いた宇宙、宇宙のエネルギーはプラス。宇宙の膨張は続く。
- Κがプラスなら閉じた宇宙、宇宙のエネルギーはマイナス。宇宙は収縮に転じる。
- Κがゼロなら平坦な宇宙、宇宙のエネルギーはゼロ。宇宙は最も遅く膨張する。
- それなら宇宙のエネルギーの符号を調べるかわりに宇宙の曲率を測ればよいのではないか!
- 宇宙の曲率を直接測ることは、ここ10年ほどでできるようになった。
- 宇宙マイクロ波背景放射を観測すればよい。
- 宇宙誕生から38万年前の宇宙から発せられる電磁波。
- 宇宙が10万歳のとき宇宙の温度は3000度あった。宇宙はプラズマ状態で光を通さない不透明。
- 光(電磁波)で見える限界が38万歳。そこが見える宇宙と見えない宇宙の境目(最終散乱面)である。
- いまその場所は絶対温度で3度。宇宙マイクロ波背景放射は2人の学者によって偶然発見されノーベル賞につながった。
- アナログテレビの放送終了後のノイズ画面の1%は宇宙マイクロ波背景放射によるもの。
- 1997年のBOOMERANG実験により宇宙マイクロ波背景放射が観測された。
- 観測結果の色の濃い部分と薄い部分が温度の高低をあらわし、その差は1万分の1程度。
- 温度の高低のムラは宇宙誕生時の物質の密度のムラに対応している。
- この物質のムラが後に銀河などを形成する核となる。
- このムラの大きさの見え方が宇宙の曲率によって変わる。
- これによって宇宙の曲率は1%の誤差でゼロだということがわかった。
- 運動エネルギーの和が位置エネルギーの和とつりあっている。
- これは宇宙は無から始まったということを示唆する最初の証拠。
- 宇宙を作るためには何のエネルギーも必要なかったということかもしれない。
- 通常の物質とダークマターの総量は宇宙の曲率をゼロにするのに必要な量の30%しかない。
- だとすると残り70%の正体は?
- それは銀河の無い場所、つまり空っぽの空間に潜んでいる。
- 1998年、2つのグループが宇宙の物質がどのくらいあるか知るために宇宙の膨張速度の微妙な減速度合いを測定していた。
- 予測では宇宙の物質により加速は減速するはずだったが、これに反して加速していることがわかった。(グラフで説明)
- 一般相対性理論は重力が斥力になることも導く。エネルギーに満ちた空間では斥力が働く。
- これが宇宙の加速膨張の原因である。
- 宇宙の曲率をゼロにするために空間に満ちているべき宇宙のエネルギーの量は残りの70%であり、これはダークエネルギーであることがわかった。
- これで宇宙の究極のミステリーにたどりついた。
- 通常の物質は4%、ダークマターは23%、ダークエネルギーは73%。
- ダークエネルギーの正体はまったく分かっていない。
- ダークエネルギーは宇宙が誕生した瞬間の空間と時間の性質と密接に結びついている。
- ダークエネルギーにより加速膨張する宇宙の未来とは?
- ジョージ・オーウェルが最初に宇宙の未来に気がつく。
- ダークエネルギーの密度が一定なら宇宙は指数関数的に加速膨張する。
- 物体が180億光年以上離れると、光より速く離れていく。
- 空間は光より速く遠ざかることが可能。これは相対性理論に矛盾しない。
- ダークエネルギーは重力の量子論と関係があるが、重力の量子論はまだわかっていない。
- かつて観測可能だった宇宙は現在より広かった。時間が経つほど観測できるものは減っていく。
- 2兆年後には宇宙のほとんどは見えなくなってしまう。
- 2兆年後の科学者は、たったひとつの巨大な銀河しか観測することができない。
- 銀河の膨張すら気がつくことができなくなってしまう。
- 私たちは特別な時代に生きている。もしかすると2兆年後にはまた別のものが見えるようになるかもしれない。
- さらに未来の宇宙では、銀河の星はすべて燃え尽きてしまい、何も観測できなくなる。
- 自分の存在が取るに足らないと知れば、人生を自分で切り開こうとなる。
- 私たちは宇宙の歴史の特別な時代に生きているということを謙虚に受け止めて研究すべきだ。
- 4回の講座で「道具」を身につけて宇宙のミステリーにたどりつくことができた。
- その道具は宇宙のミステリーだけでなく、自分自身の問題に向き合うためのものでもある。
解説
前回の講座でケプラーの法則を学んだ。この法則によると銀河系を公転する恒星や星団は銀河系の中心からの距離が大きいほど公転速度が小さくなるはずである。ところがそうなってはいなかった。公転速度は一定だったのである。
太陽系は銀河の外側に近いところを公転しているが、太陽系の外側の天体の公転速度も一定であることが観測された。万有引力の法則が成り立っているならば、これは私たちの目には見えない物質の質量がこの図のように分布していることを意味している。しかもその質量は目に見える物質(天体)の10倍にも及ぶ。
ところで1916年にアインシュタインが発表した一般相対性理論によると物質の質量は空間をゆがめることが導かれている。1936年にアインシュタインはマンドルの依頼に応じて「光線は空間のゆがみによって曲がる」という論文を発表した。アインシュタインはこの論文の重要性に気がついていなかった。これは後に重力レンズ効果として観測されることになる。
ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された50億光年彼方の銀河団の写真。赤い丸で囲ってある青色の光はこの銀河団からさらに50億光年はなれた「ひとつの天体」が重力レンズ効果によって複数の天体として観測されていることを示している。
中略
宇宙マイクロ波背景放射とは宇宙が誕生してから38万年後の宇宙の様子を映し出す電磁波で、およそ137億光年の彼方、宇宙空間の全方向から届いている。宇宙マイクロ波背景放射は1964年にアメリカ合衆国のベル電話研究所(現ベル研究所)のアーノ・ペンジアスとロバート・W・ウィルソンによってアンテナの雑音を減らす研究中に偶然に発見された。ペンジアスとウィルソンはこの発見によって1978年にノーベル物理学賞を受賞した。
1997年に南極大陸で気球を上げて行われたBOOMERANG実験により、宇宙マイクロ波背景放射の温度のゆらぎを初めて観測した。
2019年11月23日に追記:
次のようなニュースが飛び込んできた。宇宙は平坦ではない可能性がでてきたのだという。
「宇宙はまるい」説が浮上!宇宙理論が根本からひっくり返るかも
https://www.gizmodo.jp/2019/11/the-universe-may-be-round.html
つまり全宇宙のエネルギーはゼロであり、運動エネルギーの和が位置エネルギーの和とつりあっていることがわかる。これは宇宙は「無」から始まったということを示唆する最初の証拠だ。
中略
1998年、2つのグループが宇宙の物質がどのくらいあるか知るために宇宙の膨張速度の微妙な減速度合いを測定した。その結果は驚くべきものだった。理論的には宇宙の物質の万有引力によって膨張速度は減速するはずなのだが、膨張は加速していたのだ。講義では言及されなかったが加速膨張が始まったのは今から70億年前のことである。
通常の物質とダークマターの総量は宇宙の曲率をゼロにするのに必要な量の30%しかない。だとすると残り70%の正体は何だろうか?そしてこれは銀河の無い場所、つまり空っぽの空間に潜んでいるのだ。
一般相対性理論は重力が斥力になることも導く。エネルギーに満ちた空間では斥力が働く。これが宇宙の加速膨張の原因である。
宇宙の曲率をゼロにするために空間に満ちているべき宇宙のエネルギーの量は残りの70%であり、これはダークエネルギー(暗黒エネルギー)であることがわかった。
通常の物質は4%、ダークマターは23%、ダークエネルギーは73%。ダークマターとダークエネルギーの正体はわかっていない。
ダークエネルギーにより加速膨張する宇宙の未来とはどのようなものだろうか?ジョージ・オーウェルが最初に宇宙の未来を予測した。ダークエネルギーの密度が一定なら宇宙は指数関数的に加速膨張する。
物体が180億光年以上離れると、光より速く離れていく。空間は光より速く遠ざかることが可能。これは相対性理論に矛盾しない。ダークエネルギーは重力の量子論と関係があるが、重力の量子論はまだわかっていない。
かつて観測可能だった宇宙は現在より広かった。時間が経つほど観測できるものは減っていく。2兆年後には宇宙のほとんどは見えなくなってしまう。2兆年後の科学者は、たったひとつの巨大な銀河しか観測することができない。さらに未来の宇宙では、銀河の星はすべて燃え尽きてしまい、何も観測できなくなる。
良かった点、素晴らしいと思ったこと
- 複数の受講者が積極的に質問し、質問内容がよかった。
- 数式がわからない受講者でも理解できるように講義が組み立てられていた。
- 高校の物理や地学(天文)のレベルでも、論理の積み重ねによってこれだけ深いことが理解できることが示されていたこと。
- 第3回までの講義の内容が効果的に活かされ、第4回の講義の説明に結びつけられていたこと。
その他、気がついたこと、生じた疑問
- 講義の時間的な制約からインフレーション宇宙論、アインシュタインの宇宙定数、どのようにして「無」から物質が生まれるか、原始重力波、マルチバース(多宇宙)、人間原理とランドスケープ問題などが説明されなかった。
これらについては「宇宙が始まる前には何があったのか?:ローレンス・クラウス」(Kindle版)(紹介記事)をお読みいただきたい。
特にインフレーション宇宙論は重要である。宇宙マイクロ波背景放射の強度は揺らいでいるとはいえ、強いところと弱いところの差は1万分の1程度と極めて小さい。これは宇宙の驚異的な均質性を示していて、宇宙はプランクスケールという極めて小さい領域から誕生したことを意味している。そのミクロの領域から爆発的な勢いで膨張したというのが宇宙誕生時のインフレーションである。
- フリードマン方程式とニュートン力学の方程式との対応付け
宇宙論を専門的に学んだ方の中には、なぜフリードマン方程式を使わずに宇宙膨張を説明できたのかと思った人がいるかもしれない。フリードマン方程式は宇宙論では定番なのだが、この講義には難し過ぎる。だからこの講義で扱われたのは古典的なニュートン力学の方程式である。フリードマン方程式とニュートン力学の方程式の対応付けについては「第4講 宇宙の幾何学」というPDF文書の6ページ目で解説されているのでお読みいただきたい。この文書のことはT_NAKAさんから教えていただきました。T_NAKAさん、ありがとうございます。
- 銀河系の本当の姿、スパイラル構造のできるしくみ
今回の講座では取り上げられなかったことで、ぜひ紹介したいことがある。第1回の講義の感想記事で僕は「なぜ銀河系は渦を巻いているのか?」という疑問を持ったことを書いたが、ブログをお読みいただいている「はやぶさ」さんから紹介いただいたNHKの「コズミック フロント」の「スパイラル・ミステリー 5つの渦がひもとく宇宙の謎」の再放送を見て疑問が解消した。
中略
太陽系やその他の恒星は銀河系の螺旋形の「腕」と一緒に動いているのではなく、腕を通過するように運動しているのだ。腕の中では天体の速度が遅くなって「渋滞」のようなことになり、腕の外にいるときは速い速度で公転している。私たちが見る銀河系の螺旋形の腕の構造は「スパイラル構造」と呼ばれていて、銀河系を回る天体の「渋滞」によってそのような形に見えているのだという。公転しているすべての天体は順番に渋滞に入って、しばらくすると渋滞から出ていくように運動している。
また、太陽系がスパイラル構造を通過するのは1億数千年おきだったことが計算されていて、これは地球の氷河期の時期に一致している。周期的におきた地球の氷河期は銀河系の渦巻きによるものだというわけだ。水色で示したのがスパイラル構造を通過していた位置である。銀河系のスパイラル構造は地球の気候にも影響を与えたという論文が発表されている。これは地質学と天文学の成果を合わせることで導かれた仮説だ。
詳細を知りたい方は「NHKオンデマンド(スパイラル・ミステリー 5つの渦がひもとく宇宙の謎)」でご覧ください。「はやぶさ」さん、この番組のことを教えていただき、ありがとうございました。
番組関連書籍:
「宇宙が始まる前には何があったのか?:ローレンス・クラウス」(Kindle版)(紹介記事)
「A Universe from Nothing: Lawrence M. Krauss」(Kindle版)
続いて「YOUTUBE」です。
宇宙白熱教室4
5,947 回視聴2020/07/27
Kitsch Asari
チャンネル登録者数 2260人
ダークマター 、 ダークエネルギー
感想:NHK宇宙白熱教室:第4回:
そしてダークエネルギーの発見 ~私たちのみじめな最後~
ローレンス・クラウス
ウィキペディア
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