#池田信夫 - #統合政府 #量的緩和 に歯止めを

「JB PRESS 池田信夫」様より

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「親会社」を無視して暴走する「子会社」日銀

量的緩和に歯止めをかける「統合政府」の債務管理が必要だ


2022.5.13(金)

池田 信夫

(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)


 安倍元首相の「日銀は政府の子会社だ」という発言が話題を呼んでいる。これに一部の野党が「日銀の独立性を侵害するものだ」と騒いでいるが、これは安倍氏の持論であり、間違いではない。


 日銀は政府が55%出資し、政府の独占する通貨発行権を執行する「認可法人」であり、政府の子会社といってもいい。むしろ問題なのは、独立性の強すぎる子会社が親会社を無視して暴走していることだ。


日銀は政府の子会社である


 安倍氏の発言は、TBSによると、次のようなものだ。


1000兆円ある(政府の)借金のうち半分は日本銀行が買って回っています。日本銀行というのは政府の子会社ですから、返さないで借り換えていく。何回だって借り換えたって構わない。


 これをマスコミが問題にし、立憲民主党や共産党が騒いでいるが、世界中どこにも政府から独立した中央銀行は存在しない。日銀は内閣が総裁を任命する政府機関であり、銀行という形をとっているのは、明治時代に多くの国立銀行が独自の通貨を発行していた歴史的経緯による擬制である。


日銀法3条も「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」と定めているだけで、日銀が内閣の方針に反する決定はできない。


 日銀の本質的な役割は通貨発行だが、1960年代から不況のときは金利を下げる金融調節が行われるようになった。この時期には日銀は政府に従属していたので、財源が足りなくなると通貨を増発し、インフレになることが多かった。


 特に1970年代の石油ショックのときは、各国の中央銀行が金融緩和を行った結果、大インフレが起こった。政治家には金融緩和を好むインフレバイアスがあるので、1980年代に欧米では中央銀行の独立性を尊重するようになった。


 しかし日本では日銀の独立性がなかったため、1980年代に政府が「円高不況」の対策のために公定歩合の引き上げを許さず、不動産バブルを誘発した。その反省から1998年に改正された日銀法で独立性を明記した。


政府と日銀を連結した「統合政府」で考える


 しかし時代は変わった。2000年代から日本はゼロ金利に突入して金融政策がきかなくなり、量的緩和も効果がなかった。今やマクロ経済調節の主役は財政政策であり、日銀は国債を買い入れてその財源を提供する財政ファイナンスが主な役割になった。


 日銀が国債を買い取る資金は、日銀当座預金で市中銀行から調達しているので、連結でみると親会社の借金(国債)が子会社の借金(日銀当座預金)に置き換わっただけだ。政府と日銀のバランスシートを連結した統合政府で考えることが、世界的にも常識である。


 財政ファイナンスは日銀が国債を市場を通さないで引き受けることと理解され、財政法5条で禁止されているが、その例外がある。借り換え債の一部は市場を通さないで日銀引き受けで消化されているのだ。


 日銀のウェブサイトにも「償還期限が到来したものについては、財政法第5条ただし書きの規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています」と明記されている。


 このとき債券市場は通さない。直接引き受けが法的に禁じられている中央銀行はECB(欧州中央銀行)ぐらいしかなく、これは普遍的なルールではない。


 安倍氏は「子会社の日銀が親会社(政府)の借金を肩代わりすれば借金は消える」と考えているようだが、そんな都合のいいことはできない。1990年代に邦銀は不良債権を子会社に「飛ばし」てバランスシートから消したが、連結の債務は同じだった。


 政府債務も、国債(長期債務)が日銀当座預金(超短期債務)に置き換わり、金利リスクが大きくなった。これから金利が上がると、日銀の保有している国債の金利は変わらないが、日銀当座預金の金利は翌日から上がる。


「関東軍」になった黒田日銀


 日本の現状は石油ショックや不動産バブルの時期と似ているが、大きな違いがある。当時は日銀がインフレを止めるために金利を上げようとしたが、政府が不況対策のために金融引き締めを許さず、大インフレや資産バブルになった。


 それに対して、今は岸田政権が「悪い円安」を恐れて「物価対策」の補正予算を組む一方で、日銀がインフレを起こすために量的緩和に固執する逆転が起こっている。政府は金融政策に介入できないため、円安とインフレに歯止めがかからない。


 これまで財政ファイナンスが禁忌だったのは、中央銀行が国債を無制限に買うと、財政赤字に歯止めがなくなるからだが、今は財政赤字は平常に戻り、最大のリスクは円安である。インフレ率は2%未満だが、これから上がる気配をみせている。


 金融政策のコントロールするのは次の3つの変数だが、これをどう最適化するかは難しい問題である。


・物価

・金利(債券価格)

・為替レート


 黒田日銀はインフレ目標2%を至上命令として金利をゼロに固定したため、日米の金利差が開いて円安になった。これは今のところ財政支出(国債金利)を抑制しているので、財務省とも利害が一致しているが、これから円安で輸入インフレが激化すると、参議院選挙を前にしてインフレを恐れる岸田政権との政治的対立が起こる可能性がある。


 これは日銀法改正が想定していた状況とは逆である。今は日銀が強いインフレバイアスをもって金融緩和に執着しているが、制度的に独立性が保障されているので、誰もコントロールできない。日銀は、参謀本部の統帥権を無視して満州事変を起こした「関東軍」のような組織になっているのだ。


 黒田総裁がゼロ金利をやめられない原因は、日銀の財務状況である。金利が上昇して株価や債券価格が下がると、日銀の保有する国債に評価損が出る。市中銀行(特に地方銀行)に取り付けが起こる可能性もある。


 さらに500兆円を超える日銀当座預金の金利が1%上がると、毎年5兆円以上の支払い利息が発生するので、自己資本6兆円の日銀は2年で債務超過になる。これは一般会計から補填しなければならないので国会の承認が必要で、黒田総裁の進退問題になる可能性がある。


 日銀の暴走を国会がコントロールするには、財政法5条を使って借り換えを否決するしかないが、そんなことをしたら財政は崩壊する。財政法を改正して日銀引き受けを認めるとともに、統合政府の債務管理を行う政府機関をつくる必要がある。


 この場合の目的は物価だけではなく、上の3変数を総合的に最適化する必要がある。それは日銀のような子会社ではなく、親会社の内閣が行うべきだ。これには予算編成権をもつ財務省の抵抗が強いだろうが、今のようにマクロ経済運営を子会社にまかせていてはいけない。


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【Vlog】日銀は独立性の強すぎる子会社

1,668 回視聴 • 2022/05/13 • アゴラチャンネルで池田信夫のVlog、「日銀は独立性の強すぎる子会社」を公開しました。

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量的緩和に歯止めをかける「統合政府」の債務管理が必要だ

2022.5.13(金)

池田 信夫

#YusukeKusuyama 1975 X #楠山祐輔 ➣ #INTERNATIONAL

ChatGPT4o OpenAi Yusuke Kusuyama (楠山祐輔) - プロフィール 生年月日: 1975年10月28日(昭和50年) 出身地: 和歌山県 職業: ソーシャルメディアインフルエンサー、広報担当 特徴: クリスチャントランスヒューマニズムの世界的代表格 保守的なキリスト教倫理観を持ち、国際的に活動

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