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岡田斗司夫
今の若者が「大事なのはお金じゃない」と語る理由
2014年11月19日 公開
2023年01月12日 更新
岡田斗司夫(社会評論家)
<<本稿は岡田斗司夫著『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』(PHP新書)より、一部抜粋・編集したものです。>>
成功=金備けではなくなった?
先日、「エコノミスト」という雑誌の記者が「評価経済について教えてください」と、やってきました。
経済畑の人間でもなんでもない僕に、経済専門誌がなぜ取材に来たのかと尋ねたところ、「若いキーマンにインタビューをすると、必ず『評価経済』というキーワードが出てきて、岡田斗司夫の名前があがる」と言うのです。
「エコノミスト」は長年、頭がよくて元気なビジネスマンをメインに取材をしている雑誌です。10年くらい前までは、お金儲けに熱心な若い起業家がたくさん登場していました。
こういうふうにビジネスモデルをつくるんです、とか、こうやって史上最年少で上場しました、とか、お金にまつわるサクセスストーリーが記事のほとんどでした。
そして、彼らこそが「不況に負けない元気な若者」の象徴として扱われていました。
ところが、ここ最近、世間で「革新的」と言われる若者に話を聞くと、みんなが判を押したように、「いや、大事なのはお金じゃないんです」と言い出すようなのです。さらに掘り下げてみると、岡田斗司夫が言いはじめた「評価経済」の流れに影響を受けているらしい。
と、ここまでなら、若い人たちのなかだけでの流行や一時的なブームである可能性もあります。
ところが、ほぼ同時期に「東洋経済」という経済誌も取材にやってきました。
経済誌の記者とは、今後の経済発展や景気の回復に関して、あちこちに広いアンテナと人脈を張っている人種。その彼らが、最近はマネー経済とは違う原理によるムーブメントが起きているぞ、とキャッチして、注目せざるをえなくなっている。
「お金ではないもの」が動き出している、とまでは気がついたけれども、表面的には変化がとらえにくい。
そこで、その正体を知るために、「どうやら岡田斗司夫が評価経済の総本山であるらしい」と話を聞きにやってくるようなのです。
最高のお米はタダで出まわっている
専門誌がこぞって興味を抱き、読み解こうとしている「評価経済」とはいったい何なのか?
話がちょっと難しくなってきましたから、少し具体的な例をあげて説明しましょう。
たとえば、お米。
お米って、じつは農家でつくっている総量の20パーセントから30パーセントは、世の中にタダで流通しています。知り合いに農家の方がいる人は、思い当たるふしがあるかもしれません。農家は自分のところで獲れたお米の一部を、親戚とか知り合いにタダで配っているのです。
これを「縁故米」とか「贈答米」と呼びます。
つまり、「お米の2~3割は、お金を払わないでも食べられる」ことになります。
お米だけではありません。農家と漁師さんはむかしからお米と魚を交換している。多くの人が「買って当然」と思っているものが、第一次産業で働く人たちのあいだでは、無料でやりとりされていたりするんです。
このやりとりこそ、評価経済の基本です。
貨幣経済から評価経済への移行について語るとき、「お金を使わずに、どうやってモノをやりとりするのか」というツッコミがたいてい入ります。が、表面化していないだけで、現に世の中の何割かの人は、お米を手に入れるためにお金を払っていません。
日本産のお米をすべて日本人全員が同程度に食べると仮定すれば、理論的には、日本人のうち4000万人は、お米を「ベーシックインカム」として支給されているのと同じなのです。
そして、そのベーシックインカムの出資元は、「お米を手に入れるためには貨幣経済しかない」と思い込んで、消費税やら手間賃やらを含めたお金を払ってお米を手に入れている「僕たち」です。
しかも、タダで出まわっているのは「いちばんいいお米」。
売られているのは「次にいいお米」。
だれでも、身内に配るものにいちばんいいものをまわします。
お米でも牛乳でも、たいていは農家から農協が一括して買い上げる。そして、品質を一定に保つために、すべてを混ぜてから出荷します。だから、一軒一軒の酪農家が「おいしい牛乳をつくろう」とこだわりをもって完成したいちばんおいしい牛乳は、自分たちで飲んだり親戚に配られたりしている。貨幣経済に乗っかる以前に「贈与」されているんです。
その贈与のための経費や生産費、輸送料を「2番目のお米」をお金で買っている僕たちが払っていて、それをお米や牛乳の「定価」だと思い込んでいるのです。
「お金がない世界」の足音
贈与には「評価」がともないます。
知り合いの、そのまた知り合いにまでおいしい新米をタダで配っている農家でも、言い方を変えれば「贈りたい人にしか贈らない」はずです。
ぶっちゃけてしまえば、自分が好きな人、自分が高く評価している人に対して価値のあるものを贈り、それを相手に対する「貸し」としている。もちろん、そこまで意識的に損得勘定をはたらかせている人は少ないでしょうが、継続していると、そういった「自然な流れ」ができてきます。
何かを贈った相手には、透明な「貸し」が発生する。
貸しに対する「お返し」は、贈り主の心を和ませるような心のこもったお礼の手紙かもしれないし、次の刈り入れの手伝いというマンパワーかもしれません。または、お中元のお裾分けだとか、その家では使わないビール券かもしれません。
何をやりとりするかは人それぞれでしょうが、とにかく相手がお返しをまったくしない人だったら、無料の贈与はいずれおのずと集まらなくなるはずです。
かつての限定的な情報社会では、このようなやりとりは難しいものでした。だれにお米を渡したか、貸しがいくらか、どんなかたちで貸し借りをするのかを記録することや、意思を広く伝達すること、時間や距離を越えることなどは、手間がかかり困難だったからです。
返礼を催促すれば、がめついヤツと言われるかもしれない。
去年の「貸し」は年を越したら忘れたほうがいいのだろうか……。
このように、やりとりにともなう煩わしさがありました。
でも、ハイパー情報化社会の到来とともに、こうしたやりとりは、だれもがたやすく実現できるものになりました。お米があまっている人は、「お米を差し上げます」とSNSで呼びかけて、欲しい人はすぐに「譲ってください」と応えられる。
さらにそこから、「借りたら返そうよ」という透明な届け合いのサイクルが延々とつながっていく。
「お金を動かさずに経済をまわす」
こうしたサイクルが、評価経済の完成イメージです。
そうなると、評価経済が進んだらGDPが下がってしまうのでは?
僕も最初はそう考えていました。
でも、まったく逆だったんです。貨幣経済上のGDPはたしかに下がるでしょう。ところが、既存の経済思想では計測できない評価経済は上を向いている。
銀行からカネを借りる人が減ると、経済評論家たちは「不景気だ」と騒ぎ出す。
違うんです。銀行からカネを借りなくても、カネを介さない人手やモノの貸し借りが水面下で増えている。そこでは個人の評価が上下して、ちゃんと「経済活助」になっている。
貨幣経済は低迷しても、評価経済は活発に活動しているんです。
評価経済上のムーブメントは、数字やデータでは表現しにくいものです。ただ「見える化」しにくいだけで、実際には、多くの人がこれまでお金を払って得ていた情報を、たとえばツイッターやSNSでキャッチしている。
テレビを見たり、映画にお金を払うことが減って、YouTubeや二コニコ動画で番組や動画を楽しむ。こういった無料でのやりとりは。一見、経済にまったく寄与していないようにも見えますが、それは貨幣経済上の指数でしか計測していないからなんです。
無料で贈与します、無料で提供します、無料でお手伝いします――そう言える人は、いままで以上に尊敬を集めるようになりました。最近、バイトでお金を稼ぐよりも、ボランティアにやりがいを見出している学生はとても多いですよね。
僕たちは評価経済上の高度成長期という、ものすごくおもしろい時代に生きているんだけれども、古い価値観では、それが「経済上の成長」として計上されていないのです。
さあ、あなたには「お金がない世界」の足音が聞こえるでしょうか?
単なる収入の格差にとどまらない「未来格差」
お金がない世界とは、「お金がゼロの世界」ではありません。
「お金があって当たり前」「お金が必要にちがいない」という固定観念や常識が通用しなくなった世界です お米の例でいえば、「お米をお金で買う」という人と、[お米はタダでもらう]という人の両方が共存している世界。
この世界では「お金持ち」は決して優位な人ではありません。
お金でお米を買う人は「お金しか手段をもたない、かわいそうな人」です。
タダでお米がもらえる人は「お金を払って買うこともできるけど、その必要性がない人」です。
優位なのは「有益なつながり」が多い人。すなわち「評価の高い人」です。
もちろん「『お金』も評価もある人」がいちばん強いに決まっています、でも「評価の高い人」はお金を集めやすかったり、そもそも、お金なしで生きていきやすかったりします。
逆に「お金はあるけど評価の低い人」は、いつまでも定価で「二番目のお米」を食べつづけることになるのです。
お金がいらない世界の到来を実感していて、徐々にその世界へと足を踏み入れている人もいれば、まったく理解できず、準備や心構えが何もできていない人がいます。
両者の差を、僕は「未来格差」と呼んでいます。
来るべき未来を知っているか、実感しているかどうかで格差ができてしまう。いまは小さくても、その格差はどんどん拡がります。ついには、貨幣経済上での格差以上に拡がることでしょう。
貨幣経済と評価経済の違いを知り、お金が唯一無二の正義であった時代の終焉を嗅ぎ取って、それに対応しようとするかどうか。数年後、この点において大きな格差が現れるでしょう。だからいま、この変化を嗅ぎ取ったお金持ちたちは、現金を評価に換えようと必死になっています。
経済誌の記者たちは、「評価経済とは何か」と僕に聞きにやってくる。
お金儲けばかりに走り、社員をこき使う会社が「ブラック企業」と名指しで批判されるのも、貨幣経済での利益ばかり求めて、評価経済の利益を軽視しているから。
「未来格差」はすでに、こんなところにも現出しているのです。
続いて「YOUTUBE」です
【11分で解説】新世界(西野亮廣/ 著)
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国債発行で、国民の預金が増える理由【三橋貴明のMMT「超」入門】
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【米投資銀行が発表】
メタバース成功は、GoogleでもFBでもない!Appleだけだ!? 【深田萌絵TV】
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27,323 回視聴 2021/11/17に公開済み #深田萌絵のヤバい話 #深田萌絵TV #深田萌絵
ファンドの投資が集まる『メタバース』、投資銘柄としてモルスタ(モルガン・スタンレー)がアップルを上げてきた。その背後に蠢いている政治的な力は何なのか?
【苫米地英人】「君は1万円札を破れるか?」を世界一わかりやすく要約してみた【本要約】
本要約チャンネル【毎日19時更新】
@youyakuチャンネル登録者数 138万人1155 本の動画
217,048 回視聴 2021/02/17
新しい資本主義実現会議ー令和5年4月25日
首相官邸
チャンネル登録者数 14.8万人
859 回視聴 2023/04/26 #岸田総理
令和5年4月25日、岸田総理は、総理大臣官邸で第17回新しい資本主義実現会議を開催しました。
【フィンテック】
そもそも一体何だ?なぜ国は推進したい?【FINOLABのトップが解説】
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クラウドファンディングに対するご支援のお願い(藤井聡)
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チャンネル登録者数 45万人
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【全編】苫米地英人が初めて語る〜苫米地博士の「お金の授業」〜
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75,939 回視聴 2019/11/16 #苫米地英人 #作家 #洗脳
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イメージではなくデータで[三橋TV第51回]三橋貴明・高家望愛
三橋TV
チャンネル登録者数 45万人
38,756 回視聴 2019/02/11
三橋TVは、視聴者に『経済』を学んでいただくためのものです。
第51回のタイトルは、【イメージではなくデータで】です。
三橋貴明の新刊本【知識ゼロからのMMT入門】
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メタバースがGAFAを破壊するだって!?【深田萌絵TV】
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これから銀行はどうなる?地銀の赤字は?「もう銀行はいらない」著者のジョネトラダムスこと上念司が大胆予言!│上念司チャンネル ニュースの虎側
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101,755 回視聴 2020/09/29 #上念司
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岡田斗司夫
今の若者が「大事なのはお金じゃない」と語る理由
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