#苫米地英人 - 催眠術と気功と古武術の関係

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催眠術と気功と古武術の関係とは!?『完全版 変性意識入門 自分のリミッターをはずす!』

変性意識をコントロールすることをテーマにした本です。

そのために本書では催眠術、気功、古武術などを取り上げながら、それらが変性意識とどう関係してくのかを苫米地さんが解き明かしていきます。

日本催眠術協会の代表理事で、気功の本を出していたり、家伝の古武術を使う苫米地さん。

これだけ聞くと、バラバラなことをやっているように見えますが、苫米地さんの中ではすべて変性意識というキーワードで繋がっているようです。

目次

1 本書の特徴

2 催眠術編

2.1 催眠術はうさんくさい?

2.2 催眠術をかける対象

3 気功編

3.1 気は実利主義で学ぶべき?

3.2 変性意識状態とは?

3.3 変性意識状態を学ぶには気功が最適

4 古武術編

4.1 苫米地英人と古武術

4.2 古武術とは?

5 具体的なトレーニング方法

5.1 呼吸法の本当の意味

6 逆腹式呼吸法のトレーニング

7 逆腹式呼吸法をやってみた感想

本書の特徴

本書では苫米地さん自身の見解が書かれているのはもちろんですが、それぞれの分野の専門家のインタビューをしてるのが大きな特徴です。

催眠術師の人や医師、フルコンタクト空手家など苫米地さんの知り合いやお弟子さんなど多岐に渡ります。

これらの人たちが自分の見解を述べて、苫米地さん自身が見解を述べるというかなり変則的や本です。さらりとその分野の奥義のようなことをいっているのも特徴といえます。

またタイトルに”完全版”と入っていますが、これは本書に先行して『潜在能力を最高レベルに引き出す「変性意識入門・催眠編」 (Kindle Single)』が出版されているから。それに加えて気功と古武術の章を追加したのが本書です。

催眠術編

催眠術はうさんくさい?

催眠術と聞くと、何となくうさんくさい印象を持ちます。もしくはテレビ等で催眠術士の人が観客に催眠術をかける場面を思い浮かべるかもしれません。

いずれにしても催眠術に対してあまりポジティブな印象はないと思います。その理由を苫米地さんは千里眼事件とフロイトの影響だといいます。

千里眼事件は明治時代に大きな論争になりました。ホラー小説、ホラー映画の『リング』のモデルとなった事件なので聞いたことがあるかもしれません。

催眠術が科学かどうかの激しい論争が繰り広げられ、最終的に日本の学術界では「千里眼は科学に非ず」という結論になりました。

また、心理学に詳しくなくても、精神科医のジークムント・フロイトの名前は聞いたことがあると思います。それだけフロイトが有名で権威があるということ。

そのフロイトが催眠術は効く患者と聴かない患者がいて使い物にならないと判断したのが、催眠術が衰退した理由だというのです。苫米地さんからするとフロイトの催眠術が下手だっただけで、催眠術は全員がかかるものだといいます。

催眠術をかける対象

催眠術には全員がかかると言い切る理由。それは催眠術は自分で自分にかけるものだからだといいます。これは本書の中で苫米地さんが繰り返し主張しています。つまり催眠術はすべて自己催眠ともいえます。

催眠術師は被催眠者が自ら催眠に入っていくのをサポートするのが役割で、それがうまくできかどうかが催眠術師の腕の見せ所です。

気功編

気は実利主義で学ぶべき?

気功を学ぶときのモチベーションとして、実利主義がよいと苫米地さんはいいます。つまり役に立つから学ぶという姿勢です。

気といえば中国ですが、このあたりは中国の実利主義の影響だと思います。逆にいえば、効果がなければ学んでも意味が無いともいえます。

変性意識状態とは?

自分の意志で変性意識状態になることが本書のテーマです。変性意識状態とはどういう状態でしょうか。

変性意識状態とは、臨場感が物理空間にないことを言います。空想している時、過去の記憶を思い出している時、本を読んでいる時、映画を見ている時など、気持ちが目の前ではない別のことに移っている状態はすでて変性意識状態となります。 112ページ

変性意識状態を自分の意識が現実世界”以外”のものに向いている状態だと苫米地さんは定義します。日常的にあることなので、程度の問題はありますがあなたも変性意識状態になったことあるでしょう。簡単にいえばトリップした状態です。

過去の記憶や映画などを通じて変性意識状態になることはできますが、自分自身の力で変性意識状態になることは難しいでしょう。

この変性意識を自在にあやつることができれば、情報操作がされにくくなったり、他の人と信頼関係を築きやすくなります。仕事はもちろん、人間関係全般に役立つと苫米地さんはいいます。

変性意識状態を学ぶには気功が最適

本書では催眠術、気功、古武道を紹介していますが、この中で気功が変性意識状態を学ぶ上でもっとも優れていると苫米地さんはいいます。

理由は2つあり、まずは抽象度が低いこと。催眠は意識の上で起こる現象で、言語を用いるのでより抽象的だといえます。対して気功は言語を使わず、体で行うものです。これはより具体的でしょう。

もうひとつは独学で習得しやすいことです。

催眠術には普通かける相手が必要です。自己催眠に関しても本書のインタビューで催眠術師の方が催眠術を学ぶにはスクールに入って術者から習うのが一番早いといっています。

武道については言うまでもありませんが、上達するには道場にいって実際に技をかけたりかけられたりする過程が必要です。本書でも気功師の方がぷるぷる気功を紹介していますが、自分自身にかけるなど、1人で練習することができます。

2003年に出版された『洗脳護身術―日常からの覚醒、二十一世紀のサトリ修行と自己解放』の中では、武道を習うのが一番といっていました。この部分は本書でアップデートされたといえます。

古武術編

苫米地英人と古武術

苫米地さんが古武術が使えるというのは、本や動画でいっていましたが、本書でその詳細が語られています。

苫米地さんの先祖は室町時代の関東管領、山之内上杉家だそうです。戦国時代に山之内上杉家は長尾景虎に家督を譲ります。この長尾景虎が有名な戦国武将「上杉謙信」です。山之内上杉は家督を譲ったあと各地に移っていき、苫米地さんの一族は青森の苫米地の地に居を構えて苫米地氏に。

そして苫米地さんのおじいさんは柔道をやっており、講道館の理事にもなりました。その影響で苫米地さんも幼い頃から古武術に馴染みが深かったそうです。

古武術とは?

古武術とは何でしょうか。苫米地さんは明治以前の武術と定義しています。

君主に使えて、家を守るためのものです。だから古武術はディフェンスが基本だといいます。そして刀などで斬り合うにあたって、リラックスすることが重要です。緊張していると体が固くなり反応速度が落ちてしまうので、ますます危険な状態におちいるからです。

そして古武術には変性意識を使って、相手の内部表現を書き換える技術も含まれるというのです。

具体的なトレーニング方法

本書では多くの専門家の方がインタビューの中でバラバラなことを言っています。さまざまな意見が聞けて、視野を広げるにはよいですが、これらをすべて呼んでいると、結局どうすればいいのか混乱するかもしれません。

しかし、本書では苫米地さん自身が具体的なトレーニング方法を明確に書いています。苫米地さんの本には、抽象度が高くてすぐに役立てるのは難しいものが多いので、これは本書の良い点だと思います。

変性意識状態になるためのトレーニングは、逆複式呼吸→気の玉作り→站椿功です。徐々にステップアップしてく感じになります。

呼吸法の本当の意味

逆腹式呼吸法に限らず、空手の息吹などの武術系呼吸法、ヨガの呼吸、システマやタクティカルブリーフィングなど軍事系呼吸法。これらには共通点があります。

ゆっくり呼吸することが奨励されていています。つまり、酸素不足にすることが目的だと苫米地さんはいうのです。

酸素不足になることによって変性意識状態になりやすくなるのです。

逆腹式呼吸法のトレーニング

はじめは呼吸法から。苫米地さんの本の読者にはお馴染みとも言える逆腹式呼吸法です。

これはモーダルチャンネル(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、言語)を変える効果があるのと、わざ酸素不足にすることによって変性意識状態になりやすくなり、それでいて安全性が高いことからオススメされています。

1、イスに座ってリラックスした状態でゆっくり息を吐きながらお腹を膨らませていきます。

2、吸う時は鼻からお腹を引っ込ませるように行います。

3、吸い込む空気、吐き出す空気に意識を向けて、鼻腔や横隔膜を感じてください。普段意識することのない鼻腔で空気の出入りを感じたり、横隔膜の動きを意識することがモーダルチャンネルを変えることにつながっていきます。

また、前述したように息をできるだけ長く博のは軽い酸素不足にするためですが、無理に息を苦しくしようとは決して思わないでください。自然にできる範囲で十分です。

息を吸う時も短くする必要はありません。深呼吸のように、自分が欲しいだけ空気を吸ってかまいません。ただし、呼吸は吸う時も吐く時も静かに行ってください。

4呼吸をしながら身体を緩めてください。ポイントは息を吐く時です。人間は息を吸う時は自然に身体を緩めますので、吐くときに緩める意識で行うと。身体の力はスーッと抜けていきます。

これを5分から10分ほど続けていると心地良い気持ちになり、身体もリラックスしてきます。これが変性意識です。慣れてきたらその感覚を覚えておいてください。身体が一度、その感覚を覚えてしまうと、いつでも一瞬でリラックス状態を作ることが可能になります。

さて、本書で紹介する呼吸法は、この逆式呼吸法だけです。これを会得するだけで十分にマスタークラスにまでたどり着くことができるからです。この呼吸法をそれこそ、3ヶ月、いえ1ヶ月でいいので毎日やってみてください。  166~167ページ

長々と引用しましたが、これが非常に画期的だと思ったからです。

苫米地さんは今までの本の中で一貫して逆腹式呼吸を提唱していました。しかしサラッとやり方が書かれているだけで、細かいポイント、例えば一回どれくらいやるのか、なぜ逆なのか?・・・などです。

苫米地さんの逆腹式呼吸の記述の中では本書が一番詳しいと思います。本書を読めば確実に実践できるでしょう。苫米地さんも逆腹式呼吸が読者にとってスコトーマ(盲点)になっていることを危惧して詳しいやり方を書いたそうです。

その後は気の玉を作り、站椿功を行うところまでいきます。やり方は本書を読んでもらうとして、これらの解説も大変わかりやすいです。站椿功が上達すると変性意識マスターといえます。

本当に独学でマスターできるように、親切に書かれている本書はオススメです。

逆腹式呼吸法をやってみた感想

本書を読んで、私も5分間逆腹式呼吸をやってみました。油断していると普通の腹式呼吸になってしまうので、最初は難しかったです。

しかし、5分間続けるとリラックスしてきて気持ちよくなってきます。そして頭がボーッとしてきました。まだ始めたばかりですが、身体には良いと思ったので続けてみようと思います。


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