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ジョアオ・マゲイジョ(João Magueijo、1967年-)は、ポルトガルの宇宙物理学者である。インペリアル・カレッジ・ロンドンの理論物理学教授。光速変動理論(VSL理論)の先駆者として知られる。無神論者である。
経歴
ジョアオ・マゲイジョはリスボン大学で物理学を専攻し、ケンブリッジ大学にてPh.D.を取得。彼はケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジ特別研究員資格(research fellowship)を得た。同様の特別研究員としてはポール・ディラック。アブドゥッサラームがいる。彼はまたプリンストン大学、ケンブリッジ大学の教員を勤め、現在インペリアル・カレッジ・ロンドン教授として学部生向けの一般相対性理論の講義と院生向けの高等一般相対性理論の講義を受け持っている。
1998年、マゲイジョはen:Andreas Albrechtとチームを組み、宇宙論における光速変動理論の研究をした。これは初期宇宙では光速は現在よりも早かったとする理論であり、その速さは現在の光速よりも60桁も上回ると主張するものである。これは地平線問題en:Horizon problemを説明するものであり、インフレーション理論に替わるものとされている。
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かつて光は光速よりも速かった説を証明するかもしれない数値「0.96478」。光速変動理論の先駆者が発見
英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者が、光の速度が変化するという説を証明するかもしれない数値を発見したと発表しました。その値は「0.96478」。いったい一体何を言っているのかわからないと言われればそのとおりですが、今後この数値の正当性が実験観測によって証明されれば、宇宙の成り立ちの常識が大きく覆されるかもしれません。
宇宙では、あらゆる方向から宇宙背景放射と呼ばれるマイクロ波が飛んで来ています。これはビッグバンのあと40万年後ぐらいまでに放出されたごく初期の宇宙の光の名残とされ、そのスペクトル指数は0.968と観測されています。研究者が発見した0.96478は、さらにビッグバンに近い、より古い時期のスペクトル指数値を理論的に導き出したもの。0.968と0.96478ではほとんど誤差じゃないかとも思えるものの、この差が観測によって正しいと証明されれば、太古の光は現在よりも速かったといえるわけです。
今回の数値を発見したジョアオ・マゲイジョ教授は、光速変動理論の先駆者として知られる人物。現在の宇宙では片側の端から反対側の端まで、たとえ光の速度でも宇宙ができてからの年月以内にたどりつくことができない地平線問題という矛盾があります。宇宙に光の届かない場所があるならば、宇宙の場所によって温度にムラができなければなりません。ところが、実際は宇宙空間のどの場所でも温度は均一です。この問題を解決するのが、ビッグバンが起こったような宇宙の初期ほど光は高速だったと考える光速変動理論です。
一方、現在主流なのは光の速度は一定だとする一般相対性理論に基づくインフレーション理論。インフレーション理論は地平線問題を解決できるものの、ビッグバンの後、急激に宇宙が膨張した「インフレーション」があったとする"特別な条件"が必要で、この点については何の証明もされていません。もし、マゲイジョ教授らが発見した宇宙背景放射のスペクトル指数値が観測によって正しいと確認されれば、インフレーション理論だけでなく一般相対性理論の一部もなんらかの修正が必要になるかもしれません。
ジョアオ・マゲイジョ Wikipedia
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NHK出版 光速より速い光 アインシュタインに挑む若き科学者の物語
ジョアオ・マゲイジョ/著 青木薫/訳
科学の新発見は「常識を疑うこと」から生まれる。しかし、アインシュタインの相対性理論に反論することは、科学者にとって自殺行為にも等しい。奇才マゲイジョは、まさに科学者生命を賭け「光速変動理論(VSL)」を発表した。いまや定説のビッグバン・モデルは、最新のインフレーション理論でも解決できない矛盾を抱えている。その宇宙論的大問題に、VSLは驚くべき発想の転換をもたらした。相対性理論からVSLに至るまでの流れをわかりやすく解説し、理論物理学界にセンセーションを起こした若き科学者とその仲間たちの姿を描いた、異色のサイエンス・ノンフィクション。
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