#コロナ対策 - 積極貢献する #フィンテック

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フィンテック・エンスージアスト/MBA講師  大前和徳  2020.3.13 


コロナ対策に積極貢献するフィンテック、大手金融機関とは対照的


新型コロナは世界共通の話題  ビジネス界での悲喜こもごも

 2020年は、年始から落ち着かない展開が続いているが、新型コロナウイルス騒動が世界中のヒトとモノの流れを滞らせ、東京オリンピックの開催を危うくする事態にまでなるとは予想しなかった。

 筆者が属するWhatsApp(ワッツアップ)のコミュニティでも、「新型コロナウイルス」の話題でもちきりだ。北米・欧州はもとより、インド、ペルー、ナイジェリアからも「うちの国ではx人の感染者が出た」との投稿が散見される。

 シンガポールの友人は、国外に出張できず困っている。シンガポールのような小国は、内需が小さく、東南アジアや東アジアなどとのネットワークで存在感を高めているため、移動の制限で困る度合いは日本の比ではない。

 国内経済でも観光・飲食・運輸業界は大変だ。先日搭乗した新千歳発羽田行きのB777機は、信じられないくらい空席が目立った。東京・新橋のある飲食店は、一日の売り上げが100万円が10分の1になったそうだ。サプライチェーンで中国と深く結びついている業界の影響も深刻だ。近所の自転車屋さんは、自転車の完成品や部品はほとんどが中国製のため、モノが入らず売るモノがなくなると嘆いていた。

 一方で、新型コロナウイルスが思わぬ需要増につながった業界もある。ある大手ネット証券の経営者は、ツイッターで「こんなことを言うと不謹慎かもしれませんが、オンライン証券はこの数週間大商い」とつぶやいた。他のネット証券も状況は同じだろう。AmazonやNetflixなど、自宅にいながらにして利用できる代替消費関連ビジネスも活況のようだ。

 ベーシックな需要に応える商品・サービスも底堅い。新橋の飲食店のご苦労を聞く一方で、地元の食堂や飲食店への影響はそれほど大きくなく、むしろ普段より忙しいという店主もいる。スーパーやドラッグストアは、いつも以上に混雑している。家族との対話が増えたというプラスの面を指摘する人もいる。


社会に対して何ができるか?新型コロナがいいきっかけ


 私たちは別宇宙で生きるクリプト・ネイティブではない限り、同じ船に乗って生きている。同じ船に乗っている以上、困っている時はお互い様。みんなでこの難局を乗り切るしかない。今回の問題がいつ解決するか分からないが、自分たちが社会に対してどのようなことができるのかを考えてみる良い機会だ。

 安倍首相は今回の事態を受けて、中小・小規模事業者向けの特別貸付制度を発表した。飲食店、旅館や観光業者をはじめ財務的に脆弱な事業者の事業継続リスクは計り知れず、これらの事業者の下で働く人たちの雇用にも影響が出かねない。率直にその取り組みを評価したい。

 しかし、国の取り組みにも限界がある。2020年という今を生きている私たちは、安倍首相や日本政府と同様に、この難局にどのように対処したかという意味で、未来に対して責任を有している。


J.F.ケネディによる1961年の大統領就任演説での


「あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。」

という、あの有名なメッセージを今こそ思い起こす時だ。


動くフィンテック 対照的な大手金融機関


 フィンテック事業者は、新型コロナで苦戦する事業者に対し、支援策を次々と発表している。クラウド・ファンディング大手CAMPFIRE (キャンプファイヤー)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、イベント中止・自粛を発表したアーティストやイベント事業者、来店客数が著しく減少した飲食店舗・宿泊施設などを対象に、クラウド・ファンディングを通じたサポートプログラムを開始した。同業界大手READYFOR (レディーフォー)も、「新型コロナウイルスによる中止イベント支援プログラム」を発表した。

 ファクタリング・スタートアップのOLTAは、店舗ネットワーク事業者と提携し、ネットワーク加盟店の売掛金の早期入金サポートを発表した。フィンテック大手マネーフォワードは、同社クループ会社で後払い決済や早期資金化サービスを手がけるMF KESSAIを通じ、資金繰り改善支援を始めた。同社は、親密なベンチャーキャピタル20社超と連携して、先行きの資金調達に不安を覚えているスタートアップ企業に対して、オンラインでの資金調達の相談業務も始めている。

 このような取り組みを売名行為と批判する向きもあるかもしれない。しかし、仮に売名行為だとしても、困窮している事業者や個人に対し、本業で支援できるのなら最高ではないだろうか。特に資金調達系フィンテック・サービスは、このような難局において本業で貢献できる可能性が非常に高く、各経営陣は「今こそ自分たちの事業で社会の役に立とう」という議論が社内で行われた上で、上記のような取り組みは決められたはずだ。


一方で、メガバンクや地域金融機関の動きをみてみよう。三菱UFJ銀行は、3月から災害等特別融資を始めたと報じられ、三井住友銀行は融資に関わる手数料を減免するというが、他に目立った動きは見られない。地域金融機関は、保証協会等と連携し、制度融資の取り扱いや相談窓口を設置した。しかし、地域金融機関が、プロパー融資ではなく、保証協会制度の範囲内で対応するというのは、いささか寂しい。

 同じ金融サービスを提供しているにもかかわらず、フィンテック事業者と大手金融機関との間には事業者対応に違いが生まれている背景には、次の2点が考えられる。一つは、フィンテック企業の主な顧客が、大手金融機関では相手にされない「金融弱者」であり、新型コロナウイルスによる直接的な影響の度合いが大きいこと。もう一つは、フィンテック企業は、インターネットを通じて顧客と直接やりとりする場合が多いため、顧客の実態を鮮明に汲み取ることができ、顧客に便益を直接提供できることだ。



フィンテック事業者と既存金融機関のハイブリッドは今こそ可能に


 フィンテック事業者と大手金融機関の動きの違いは、2011年3月11日の東日本大震災でもみられた。東日本大震災では、東北地方の金融機関も被災してしまい、日常的な金融サービスの提供すら困難となり、事業者の資金繰りが著しく逼迫した。

 当時ソーシャル・レンディング事業を運営していた筆者は、全従業員と何ができるかを話し合った。ソーシャル・レンディングとは、個人投資家からリスクマネーをクラウド・ファンディングで募り、その資金を個人や事業者に融資する事業である。津波で通帳や帳簿や契約書類が金融機関の店舗から流れてしまった状況では、元本保証を前提とした銀行預金を見合いにした銀行融資ではとても対応できない。今こそソーシャル・レンディングの出番だと筆者たちは感じた。さらに顧客(投資家)から「御社のサービスで被災地を支援すべきではないか」という激励(?)メッセージも届いた。

 そこで筆者たちは、オンラインで個人投資家と被災した事業者をつなぐファンドを構想した。購入型クラウド・ファンディングのREADYFORや、投資型クラウド・ファンディングのミュージックセキュリティーズのセキュリテも、被災地応援をキッカケに共感の輪を広げていた。


筆者は、インターネットを通じて資金の出し手(投資家)と資金の受け手(被災地の事業者)を結びつけることは可能であると確信していたが、最終的にはこのファンドの組成と募集を諦めた。なぜなら、被災した事業者に対する融資はできても、融資後のモニタリングが著しく困難だったためである。筆者たちは、この問題を解決しようと被災地の信金協会や地銀協会との連携を模索したが、現地の信金・地銀が被災してしまい、それどころではなかった。当時はフィンテック(という言葉すらなかったが)と金融機関との連携など夢のまた夢だった。

 

しかし2020年の今は違い、フィンテック事業者と大手金融機関は、さまざまな形で繋がっている。クラウド・ファンディング事業者と業務提携している地域金融機関は全国に広がっている。たとえば、上述したMF KESSAIが提供する売掛金早期買取サービスのバックファイナンスはメガバンクであり、メガバンクは、フィンテック事業者を通じて間接的に新型コロナウイルス被害への支援を実施していることになる。

 フィンテック事業者と既存金融機関との連携やハイブリッドモデルは、これから益々進んでいくだろう。海外では、アメリカのP2Pレンディング最大手LendingClubが、ネット専業銀行を買収した。インターネットを通じてお金の借り手と貸し手を効率的につなげるLendingClubと、その貸し手の代わりに預金での低コスト調達が可能なネット専業銀行との連携は、理に適った経営判断だと好意的に評価されている。



何ができるかを考える後世に伝えるメッセージ


 新型コロナウイルスという猛烈な逆風を受け、経済は非常事態にあるが、このようなピンチの時こそ考えるべきは、自分たちの特徴は何であり、その特徴を使ってどのように社会に「違い」をもたらすことができるかを問うことではなかろうか。SWOT(自社の強みと弱み、外的環境のチャンスと脅威)を分析し、自社の強さをさらに研ぎ澄まし、弱いところは他者との連携で補完することが肝要だ。得意なことに特化(分業)することで、社会全体の厚生は高まる。今日のピンチは、明日のチャンスと考えたい。


 J.F.ケネディは、1961年の大統領就任演説を「善良な良心が唯一の確かな報酬」であり「歴史が我々の行動に対する最後の審判」として締めくくった。損得に捉われず、難局で一致団結する日本の美徳を改めて世界に見せる時が来た。2020年を生きる私たちが、新型コロナウイルスにどのように対応したかを、未来の子供や孫たち、そして歴史家が見ていると肝に銘じておこう。


(フィンテック・エンスージアスト/MBA講師 大前和徳)

YusukeKusuyama 48 🚹 👨 = 楠山祐輔 → HP - OFFICIAL !!!!!

Meta National Doctor ➣ YusukeKusuyama 滞在型グローバルワーカー 楠山家の楠山祐輔は楠木正成の血脈を引く一族であり聖武天皇と橘諸兄との繋がりがあることが楠山家文書などによって証明されています。楠木正成は建武の元勲の一人であり明治以降は「大楠公」と称され正一位を追贈されました。楠山家文書は南北朝時代から江戸中期にかけての郷村の発達を示す貴重な資料となっています。

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