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ロックダウンでコロナ感染は止まらない 池田信夫氏
2020年04月26日 07:00
緊急事態宣言が始まって20日たったが、「8割削減」の劇的な効果はみられない。
感染者は宣言の前と同じペースで、ゆるやかに減っている。
それに満足できない人は「中途半端な自粛でだらだらやってもだめだ」とか「ロックダウンで一挙にウイルスを根絶すれば元の生活に戻れる」などというが、これは無知である。
ウイルスは害虫のように殺虫剤で「根絶」できるものではない。
新型コロナウイルスがゼロになる日は絶対こないと断定してよい。
人類が根絶した感染症は、天然痘とポリオぐらいだが、それもウイルスがゼロになったわけではなく、予防接種で免疫を維持しているのだ。
ではどういう状態になったら、感染症の流行が終わるのか。その目安になるのが集団免疫(再生産数<1)である。
これも誤解している人が多いが、政府がめざす目標ではなく、望ましい状態でもない。
ウイルスを根絶することは不可能だから、感染がそれ以上拡大しない状態をめざすのだ。
これは「感染を許容している」と受け取られるので政治的には困難で、イギリス政府は挫折した。
ヨーロッパではスウェーデン政府だけがロックダウンしないで頑張っているが、これは集団免疫をめざすものではない。
スウェーデン政府のGiesecke科学顧問は、この点についておもしろいコメントをしている。
彼はロックダウンで感染の拡大が防げるというエビデンスは見たことがないという。
これは政治家が発明した言葉で、科学には存在しない。
都市を閉鎖しても一時的にウイルスが減るだけで、閉鎖を解除するとまた増える。
死亡率の増加がゆるやかになるのは、最初は病弱な高齢者が死ぬからで、長期的にはロックダウンしてもしなくても大した違いはない。
問題は社会的距離ではなく医療資源なのだ。
スウェーデンは集団免疫を目標にしているわけではない。
無意味なロックダウンをしないで医療を支援し、高齢者や病弱な人を守る。
それ以外の集会禁止などの措置はほとんど取っていないので、人々はいつものように街で集まって食事を楽しんでいる。
多くの人が免疫をもてば、感染はやがて収束してゆく。
集団免疫はその副産物であり、収束の必要条件ではない。
WHOはコロナの抗体をもつ人がもう一度感染しないという証拠は今のところないと発表した。
もともとコロナのように変異の速いウイルスで、国民が集団免疫をもつことはむずかしいが、それでスウェーデンのような「非ロックダウン戦略」の有効性が失われるわけではない。
どういう経路をたどっても、十分多くの人が免疫をもつまで感染は止まらないのだから、それを一時的に止めることに意味はない。
ただスウェーデンの死亡率は217人(100万人あたり)と他の北欧諸国より大幅に高く、批判を浴びている。
その半分以上は施設の高齢者でロックダウンとは無関係だというが、政府は方針の見直しを迫られている。
隣のノルウェーの死亡率が37人、フィンランドが34人と、スウェーデンの2割以下だが、おもしろいのはノルウェーがBCG接種を義務づけ、フィンランドは2000年代まで義務づけていたことだ。
スウェーデンは1970年代にBCG義務化をやめた。1980年代にやめたデンマークは72人で、両者の中間である。
ロックダウンよりBCGのほうが大きな原因かもしれない。
これに比べて死亡率3人の日本は、圧倒的に有利な立場にある。
もともとロックダウンも緊急事態宣言も必要なかったのだ。
日本の再生産数は低いので収束にも時間がかかるが、それは大した問題ではない。
大事なのは集団免疫ではなく、感染のピークを下げて医療資源を守ることである。
#池田信夫 #緊急事態宣言いつまで #集団免疫
特番『いつまでやるのか?緊急事態宣言』ゲスト:㈱アゴラ研究所代表 池田信夫氏
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対談シリーズ171 ゲスト:㈱アゴラ研究所代表 池田信夫氏です。
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